転移性腎細胞癌に対するスニチニブ投与中の増殖率は長期にわたり安定しており、治療中に病勢進行してもスニチニブを継続投与することは、すぐにセカンドライン治療に移行するよりも予後が良好な可能性が示された。6月4日まで米国シカゴで開催された第49回米国臨床腫瘍学会で、米国National Cancer Institute Center for Cancer ResearchのMauricio Burotto氏が発表した。

 米国や欧州では、転移性腎細胞癌に対する治療薬として7剤が使用可能となっており、そのうち5剤は血管増殖因子経路を阻害するものとなっている。今回、スニチニブ投与中の腫瘍の縮小や増殖割合を解析し、スニチニブ投与後に病勢進行した場合のセカンドライン治療を考える上で、スニチニブの継続投与が選択可能かどうかを評価した。

 まず、Burotto氏は、スニチニブ臨床研究にデータが登録されたスニチニブ投与を受けた患者321人のデータを対象に、スニチニブ投与期間中の腫瘍縮小定数を求めた結果、1日あたり0.0048(中央値)という数値が得られた。また、同じく投与期間中の腫瘍の増殖定数を求めた結果、1日あたり0.00082(中央値)という数値が得られた。この増殖定数は267日間(中央値)定常状態になっており、321人中172人においては増殖定数が300日以上、95人においては600日以上、49人においては900日以上、安定していた。

 さらに病勢進行が認められた234人の患者の治療開始からの増殖率を経時的に検討した結果、腫瘍の増殖速度は治療期間中は安定していた。なお、234人中18人では増殖速度は高まっていた。

 また、これまで行われた臨床試験の結果から、ファーストライン治療としてスニチニブ投与を受けた患者におけるセカンドライン治療別のPFSは、セカンドライン治療がエベロリムスだった場合は3.9カ月、ソラフェニブだった場合は3.4カ月、アキシチニブだった場合は4.8カ月となっている。そこで今回解析した増殖定数を用いて、ファーストライン治療がスニチニブだった患者にセカンドライン治療としてスニチニブを継続投与したと仮定したときのPFSを算出した結果、7.3カ月となった。これは、RECISTで病勢進行の基準となっている20%増大(1.2)の自然対数を増殖定数(0.00082)で割って算出したものだ。

 これらの結果からBurotto氏は、スニチニブ投与を受けた腎細胞癌患者において増殖率は長期にわたり安定していたことから、毒性を最小限に抑えれば、スニチニブの継続投与はすぐにセカンドライン治療に移行するよりも予後が良好である可能性があるとした。そして、スニチニブ治療で進行してしまった患者に対する血管増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(VEGF-TKI)の検討を行う際には、スニチニブを継続投与する群を設定して評価することを考慮しても良いのではないかと指摘した。