転移性腎細胞癌に対する、スニチニブ、およびmTOR阻害薬の毒性と薬物代謝に関わる遺伝子多型の関係を後ろ向きに検討した結果、CYP3A4にスニチニブの毒性と、FLT3やNR113にmTOR阻害薬の毒性と、それぞれ相関すると期待される遺伝子多型が見出された。6月4日まで米国シカゴで開催された第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、米国Dana-Farber Cancer InstituteのYuksel Urun氏が発表した。

 今回、血管増殖因子(VEGF)チロシンキナーゼ阻害薬であるスニチニブ、mTOR阻害薬であるテムシロリムスエベロリムスの薬物代謝に関わる遺伝子多型と毒性の発現を検討することを目的に、患者のゲノム解析を行った。

 転移性腎細胞癌患者の全血および正常側腎臓からDNAを採取した。DNAを採取したのはスニチニブを投与した患者159例(スニチニブ群)、テムシロリムスもしくはエベロリムスを投与した患者(mTOR阻害薬群)62例の合計221例。

 解析したSNPは、CYP3A4から3つのSNP(rs2242480、rs4646437、rs2246709)、CYP3A5から1つのSNP(rs15524)、ABCB1から2つのSNP(rs2032582、rs1045642)、VEGFR2から1つのSNP(rs2305948)、NR1I3から2つのSNP(rs2307424、rs2307418)、FLT3から1つのSNP(rs1933437)の計10のSNP。スニチニブコホートではグレード3/4の毒性およびグレード3/4の高血圧と、mTOR阻害薬コホートではグレード3/4の毒性と全グレードの肺炎との相関を検討した。

 患者背景は、年齢約60歳、男性比率が約7割で、ECOG PSは0が約50%、1が約40%。スニチニブ群では淡明細胞癌が9割を占めたが、mTOR阻害薬群では淡明細胞癌は7割で、3割は非淡明細胞癌だった。転移部位数が1カ所、2カ所、3カ所だったのがそれぞれ3割ずつだった。前治療を受けていた患者はスニチニブ群34%、mTOR阻害薬群87%だった。分子標的治療を受けていた期間は、スニチニブ群7.6カ月、mTOR阻害薬群3.3カ月だった。

 解析の結果、CYP3A4遺伝子におけるrs4646437は、スニチニブのグレード3/4のさまざまな毒性と有意な相関が認められた(オッズ比0.27、p=0.03)。また、FLT3遺伝子におけるrs1933437のGG多型、およびNR113遺伝子におけるrs2307423のAGもしくはAA多型は、mTOR阻害薬の中断、減量と有意な相関が認められた(それぞれオッズ比10.33、4.24)。

 これらの結果からUrun氏は、スニチニブおよびmTOR阻害薬の毒性と相関するSNP候補が見出されたことから、前向きに評価する必要があると締めくくった。