ゲムシタビン+カペシタビン投与の局所進行または転移膵癌患者に対し、テロメラーゼワクチンGV1001を上乗せしても予後は改善されなかったことが、無作為化フェーズ3試験の結果から示された。英国University of BirminghamのGary William Middleton氏らが、5月31日から米国シカゴで開催された第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で発表した。

 テロメラーゼは染色体末端のテロメアを分解から守る酵素であるが、癌細胞で過剰発現することが知られており、また癌細胞においては細胞表面に提示されていることが明らかになっている。一方、成人の正常な分化細胞では発現していない。

 GV1001は、ヒトテロメラーゼ(hTERT)蛋白の一部をエピトープとしたワクチンで、進行膵癌患者においてhTERTを認識するCD4+細胞とCD8+細胞を誘導することができると期待されている。

 未治療の膵癌患者を対象にしたフェーズ1/2試験の結果からは、重篤な副作用もなかったほか、中間量投与群では75%の患者で免疫反応が見られ、全生存期間(OS)中央値は8.3カ月、1年生存率が25%だったことが報告されている。

 一方、基礎的な検討において、ゲムシタビンは、T細胞の活性化を促進するとともに、骨髄由来抑制細胞や調節性T細胞(Treg細胞)を減少させる効果があるという結果が得られている。

 そこで、今回、局所進行・転移性膵癌患者を対象に、ゲムシタビン+カペシタビンを病勢進行まで投与する群(対照群)、ゲムシタビン+カペシタビンを8週間投与後にGV1001を病勢進行するまで投与し、進行後はゲムシタビン+カペシタビンを投与する群(逐次投与群)、ゲムシタビン+カペシタビン+GV1001を同時投与する群(併用投与群)の3群に割り付け、予後を比較した。

 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、増悪までの期間(TTP)、有害事象など。

 試験は2007年から2011年にかけて実施され、52施設から1062人が登録された。対照群には358人、逐次投与群には350人、併用投与群には354人が割り付けられた。追跡期間中央値は、対照群が7.2カ月、逐次投与群が4.9カ月、併用投与群が6.0カ月。24カ月以上追跡可能だった患者の割合はぞれぞれ5%、2%、4%だった。

 患者背景は各群に差はなかった。平均年齢は62歳、男性割合が57%、ECOG PS 0が29%、ECOG PS 1が60%。腫瘍部位は、膵頭部が56.6%、膵体部が17.2%、膵尾部が10.0%。局所進行例が30.8%、転移例が69.2%だった。

 OS中央値は、対照群が7.9カ月だったのに対し、逐次投与群が6.9カ月、併用投与群が8.4カ月で有意差はなかった(p=0.1145)。

 また、逐次投与群のうち、18週間後に再度ゲムシタビン+カペシタビン投与を行った患者群と、対照群のOS中央値を比較したところ、有意差はなかった(p=0.279)。

 奏効率は、対照群が17.6%だったのに対し、逐次投与群が8.6%、併用投与群が15.5%。12カ月生存率は、それぞれ33.7%、25.3%、32.3%だった。

 OSハザード比は、逐次投与群が1.19、併用投与群が1.05で、対照群と有意差はなかった。

 増悪までの期間(TTP)中央値は、対照群が6.3カ月、逐次投与群が4.5カ月、併用投与群が6.6カ月だった。TTPハザード比は、逐次投与群が1.50となり、対照群と有意差があったが(p<0.001)、併用投与群は1.00で対照群と有意差は見られなかった(p=0.9932)。

 主な血液学的毒性は好中球減少症、血小板減少症、血栓塞栓症だった。

 グレード3または4の非血液学的毒性が1つ以上見られた患者は、対照群が70.7%、逐次投与群が74.0%、併用投与群が72.9%、毒性による試験中断はそれぞれ4.2%、1.1%、3.7%だった。

 これらの結果から、Middleton氏は、「進行膵癌に対するゲムシタビン+カペシタビン治療へのGV1001の追加投与は、安全ではあったが、OS、TTP、奏効率において有効性は示されなかった。また、逐次投与群は化学療法を一端中断した結果、他の2群に比べて予後が不良だったことから、治療開始から早期での化学療法の中断は予後を不良にすることが改めて分かった」とまとめた。