局所進行膵癌に対する導入化学療法後の化学放射線療法は、化学療法継続と比べて予後改善効果は認められないことが示された。5月31日から米国シカゴで開催された第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、英国University of BirminghamのGray William Middleton氏が発表した。

 Hammel氏らは、ゲムシタビンベースの治療を行った後の化学放射線療法の有効性と、局所進行膵癌に対するエルロチニブの有効性を検討するため、LAP 07試験を行った。

 LAP 07試験は、局所進行膵癌を、ゲムシタビン単独群とゲムシタビン+エルロチニブ(100mg/日)併用群にランダム化し、4カ月間治療を行う(R1フェーズ)。その後、病勢制御が得られた患者がR2フェーズへと移行し、ゲムシタビン単独群、ゲムシタビン+エルロチニブ併用群のいずれも、化学療法のみを行う群と化学放射線療法群に割り付けられた。なお、R2フェーズの化学療法はR1フェーズでゲムシタビン単独投与の場合はゲムシタビンを、ゲムシタビン+エルロチニブを投与していた場合はゲムシタビン+エルロチニブを投与した。エルロチニブは病勢進行まで継続投与した。化学放射線療法については、カペシタビン(1600mg/m2/日)と54Gy(1.8Gy/日を5日間)の放射線照射とし、R1フェーズでエルロチニブを投与していた場合は化学放射線療法後にエルロチニブを病勢進行まで継続投与した。

 主要評価項目は、R2フェーズに移行した患者グループにおける全生存期間(OS)で、化学放射線療法がOSを改善できるか評価する。副次評価項目は、エルロチニブのOSに対する効果と、忍容性、予後予測マーカー、循環腫瘍細胞(CTC)の変化とした。

 442例がR1フェーズの治療を行い(ゲムシタビン単独群223例、ゲムシタビン+エルロチニブ群219例)、そのうち269例がR2フェーズの治療へと進んだ(化学療法群136例、化学放射線療法群133例)。

 2群の患者背景は、よくバランスがとれており、年齢約63歳、膵頭部癌が約7割と多く、高分化型が32〜37%を占めた。リンパ節転移ありが約4割だった。

 フォローアップ期間中央値36カ月の追跡の結果、OSは、化学療法群は16.4カ月、化学放射線療法群は15.2カ月、ハザード比1.03(95%信頼区間:0.79-1.34、p=0.8295)で、有意差は認められなかった。PFSについても化学療法群11.8カ月、化学放射線療法群12.5カ月で、有意差は認められなかった。

 有害事象について検討した結果、化学放射線療法群でのみ多かったのは吐き気(化学放射線療法群5.9%、化学療法群0%)だけだった。

 次に、化学療法としてゲムシタビン単独投与とゲムシタビン+エルロチニブ併用の効果を比較した。OSについて、ゲムシタビン単独群が13.6カ月だったのに対し、ゲムシタビン+エルロチニブ併用群は11.9カ月、ハザード比1.19(95%信頼区間:0.97-1.45)で、2群間に有意差は認められなかった。PFSについてもゲムシタビン群10.7カ月、ゲムシタビン+エルロチニブ群9.3カ月で、有意な差はなかった。

 ただし、有害事象については、ゲムシタビン+エルロチニブ併用群で、貧血、発熱性好中球減少、下痢、皮疹が有意に多かった。

 これらの結果から、Middleton氏は、局所進行膵癌において4カ月の化学療法を行った後の化学放射線療法は、忍容性は高かったものの、化学療法の継続に対して優越性を示せなかったこと、エルロチニブは局所進行膵癌に対し有効性を示せず、一方で毒性が増加していたことを指摘した。さらに、化学放射線療法が有効な患者背景を明らかにするための解析を行うとともに、化学放射線療法に用いる化学療法について他のレジメンについても検討されるべきと語った。