乳癌予防のためにエキセメスタンを投与されている閉経後女性における副作用は、人種的/民族的マイノリティに属する女性の方が、白人女性よりも少ないことが分かった。NCIC CTG MAP.3(Mammary Prevention Trial-3)試験の参加者に対する調査で明らかになった。5月31日からシカゴで開催された第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、米国Massachusetts General Hospital Cancer CenterのBeverly Moy氏が発表した。

 NCIC CTG MAP.3試験は、カナダのNCIC CTGを中心に4カ国で実施された二重盲検無作為化フェーズ3試験。その結果、乳癌の1次予防としてエキセメスタンを投与すると、浸潤性乳癌の発生リスクがプラセボと比べて65%減少することが示された。

 乳癌の1次予防にレトロゾールを用いた同様の試験MA.17では、人種的/民族的マイノリティに属する女性の方が白人女性よりも副作用が少ないことが示されている。そこで今回、Moy氏らは、MAP.3試験の参加者に対して、エキセメスタン投与前後の副作用とQOLの変化について尋ねる調査を実施した。QOLの評価にはSF-36を用いた。

 参加者の人種についてはマイノリティ(M群)と白人(W群)、民族についてはヒスパニック系(H群)とそれ以外(非H群)に分け、症状とQOLの変化を、年齢、BMI、国、婚姻状態、教育水準および雇用状況に関して調整した後にロジスティック回帰モデルで比較した。

 回答が得られたM群(140人)とW群(2135人)の女性の背景を比較すると、M群の方が有意に高齢で(年齢中央値はM群が64.3歳、W群が62.4歳で、60歳以上の割合はそれぞれ67%、78%)、BMIが高く(それぞれ27.9%、29.3%)、米国人の比率が高かった(それぞれ60%、86%)。また、M群の方が将来の乳癌発症リスクを算出するGailスコアが高く、心血管疾患治療薬を多く投与されていた。

 H群(251人)と非G群(1991人)の背景の比較では、H群の方が年齢が若く(H群61.0歳、非H群62.7歳で、60歳以上の割合はそれぞれ56%、69%)、米国人の比率が高かった(それぞれ67%、20%)。

 その結果、M群とW群の間で有意差が認められた症状は、発汗(M群が12%、W群が22%、p=0.005)、膣乾燥(M群が8%、W群が16%、p=0.03)であり、いずれもM群の方が少なかった。

 H群と非H群の間での比較では、以下の症状に有意差が認められ、いずれもH群の方が頻度が低かった。顔面紅潮(H群が21%、非H群が42%、p<0.0001)、疲労(それぞれ14%、24%、p=0.01)、発汗(5%、24%、p<0.0001)、不眠(6%、11%、p=0.001)、胸やけ(5%、16%、p=0.001)、悪心(3%、7%、p=0.02)、関節炎(5%、12%、p=0.02)、抑うつ(7%、11%、p=0.005)、背部痛(2%、10%、p=0.002)、咳(4%、11%、p=0.02)、膣乾燥(4%、17%、p<0.0001)。

 SF-36尺度で評価したQOLに関して、M群とW群との間に有意差は認められなかった。一方、H群と非H群の比較では、H群の方が、「体の痛み」が5ポイント以上悪化した割合は低く(H群が60%、非H群が66%、p=0.02)、「精神面の健康状態」が5ポイント以上悪化した割合は高かった(それぞれ59%、48%、p=0.02)。

 Moy氏らは、「このような人種的/民族的な違いの原因となる遺伝子型の差異やファーマコゲノミクスについて、今後研究が必要だ」と指摘している。