進行非扁平上皮非小細胞肺癌(NS-NSCLC)に対し、シスプラチン+ペメトレキセドによる導入療法後にペメトレキセドによる維持療法を行う治療は、カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ導入療法後に維持療法としてベバシズマブを投与する治療と比べ、QOLの指標の1つであるEQ5Dインデックスが改善する可能性が報告された。イタリアNational Cancer Research Center Giovanni Paolo IIのDomenico Galetta氏らが、5月31日から米国シカゴで開催された第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で発表した。

 近年、NS-NSCLS患者に対する維持療法の有効性が複数報告されている。この維持療法は、投薬している期間が長くなることから、治療レジメンを選択する上でQOLの観点が重要になる。

 そこで、同グループは、フェーズ3試験としてERACLE試験を行った。この試験は、NS-NSCLC患者を対象に、導入化学療法後、維持療法としてペメトレキセドもしくはベバシズマブを投与した場合のQOLの違いについて比較したものだ。

 対象は、18-70歳、ECOG PSが0-1、ステージIIIB/IVの進行または転移性の非扁平非小細胞肺癌(NS-NSCLC)患者118人。登録半年以内に術前または術後補助化学療法を実施した患者は除外した。

 2011年1月から2012年3月にかけて118人をペメトレキセド群とベバシズマブ群の2群に無作為に割り付けた。ペメトレキセド群(60人)は、導入療法としてシスプラチン(75mg/m2)+ペメトレキセド(500mg/m2)を6サイクル行った後、ペメトレキセドによる維持療法を病勢進行まで行う群。ベバシズマブ群(58人)は、導入療法としてカルボプラチン(AUC 6)+パクリタキセル(200mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)を6サイクル投与した後、ベバシズマブによる維持療法を病勢進行まで行う群。維持療法への移行は導入療法によって完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、病勢安定(SD)が得られた場合とした。

 主要評価項目は、Euro-QoLグループが作成したEQ5Dインデックス (EQ5D-I) とEQ5D-VAS。副次評価項目は、全期間のQOL、治療の忍容性と奏効率、全生存(OS)と無増悪生存(PFS)など。QOLは、無作為割り付け時点のほか、維持療法開始12、18週間後に評価した。EQ5D-Iは、活動性や痛み、不安感、日常生活の管理など5項目を点数化して評価するもので、EQ5D-VASはこれらの5項目を視覚的尺度で評価するものだ。

 両群の患者背景はほぼ同じで、年齢中央値が61.5歳、男性割合が74%、ECOG PS 0が79%、ステージIVが94%だった。

 維持療法開始時と12週間後のQOLスコアの差を見ると、EQ5D-Iは0.15(95%信頼区間:0.01-0.29)、EQ5D-VASが1.82(同:−8.60-12.24)で、EQ5D-Iについてペメトレキセド群で有意に良好という結果だった。

 ペメトレキセド群の抗腫瘍効果は、PRが40%、SDが48.3%、病勢進行が11.7%、病勢コントロール率が88.3%、ベバシズマブ群はそれぞれ51%、27.6%、20.7%、78.6%だった。

 ベバシズマブ群に対するペメトレキセド群のPFSのハザード比は0.62で、有意差が確認された(95%信頼区間:0.41-0.95)。一方、OSハザード比は0.69で有意差はなかった(95%信頼区間:0.61-1.04、p=0.08)。

 これらの結果から、「ペメトレキセドによる維持療法を実施した群は、ベバシズマブによる維持療法を実施した群と比べ、維持療法を12週間行った後に、QOLの指標であるEQ5Dインデックスが改善していた。一方で、もう1つの指標であるEQ5D-VASについては有意差は見られなかった」とまとめた。さらに、「肺癌患者への維持療法に関する臨床試験では、QOLの評価は重要である」と強調した。