転移のある去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)に対するファーストライン治療として、ドセタキセル/プレドニゾンにaflibercept(VEGF Trap)を追加しても、ドセタキセル/プレドニンにプラセボを投与した群に比べて全生存期間(OS)は延長しないことが示された。PSA値や腫瘍に対する一定の効果は認められたが、グレード3/4の副作用の頻度が高く、そのため投与中止例が多かったことが一因とみられる。国際多施設フェーズ3試験であるVENICE試験の結果で、5月31日からシカゴで開催された第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、カナダPrincess Margaret Hospital and University of TorontoのIan Tannock氏が発表した。

 afliberceptは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を標的とする融合タンパク質で、VEGF-AやVEGF-B、胎盤成長因子(P1GF)に対して、通常の受容体よりも高い親和性で結合する。

 VENICE試験は、mCRPCを対象に実施された二重盲検無作為化フェーズ3試験。ECOG PS 0-2で全身化学療法を受けたことのないmCRPC患者を、3週毎のドセタキセル75mg/m2静注、経口プレドニゾン1日2回5mg投与に加えて、3週毎にaflibercept 6mg/kgを投与する群(aflibercept群)とプラセボを投与する群(プラセボ群)に1:1で無作為に割り付けた。主要評価項目はOSとした。

 2007年8月から2010年2月までに1224人のmCRPC患者が無作為に割り付けられ、年齢中央値は68歳、PS 0-1が96%だった。患者背景に関して両群に大きな差はなかった。

 投与サイクル数中央値はaflibercept群が8.0、プラセボ群が9.0であり、投与期間の中央値はaflibercept群が24.0週、プラセボ群が28.9週だった。少なくとも1サイクルで投与を遅らせた患者の割合はaflibercept群が49.4%、プラセボ群が35.8%であり、aflibercept/プラセボの用量を変更した割合はaflibercept群が10.6%、プラセボ群が2.3%、ドセタキセルの用量を変更した割合はaflibercept群が30.9%、プラセボ群が16.2%だった。

 投与中止に至った理由は、aflibercept群では有害事象が43.5%、疾患進行が30.4%、他の理由が24.7%、プラセボ群ではそれぞれ21.2%、55.9%、22.9%であり、aflibercept群で副作用による中止が目立った。

 試験の結果、OS中央値は、aflibercept群(612人)が22.1カ月(95.6%信頼区間:20.3-24.1)、プラセボ群(612人)が21.2カ月(同:19.6-23.8)で、層別化ハザード比は0.94、p=0.38であり、有意なOS延長は認められなかった。

 PSAに対する効果を認めた患者はaflibercept群が68.6%(95%信頼区間:64.7-72.4)、プラセボ群が63.5%(同:59.5-67.5)で、腫瘍に対する効果を認めた患者はaflibercept群が38.4%(同:33.4-44.0)、プラセボ群が28.1%(同:23.2-33.1)だった。一方、疼痛に対する効果を認めた割合はaflibercept群が35.8%(95%信頼区間:24.3-47.3)、プラセボ群が46.3%(同:34.3-58.2)だった。

 副作用については、グレード3/4の有害事象がaflibercept群の76.9%、プラセボ群の48.5%でみられた。プラセボ群に比してaflibercept群で多かったグレード3/4の有害事象は、胃腸障害(aflibercept群29.8%、プラセボ群8.0%)、出血イベント(それぞれ5.2%、1.7%)、高血圧(13.3%、3.3%)、疲労(15.9%、7.7%)、感染(20.1%、10.0%)などだった。

 さらに、投与と関係のある致死的な有害事象が、aflibercept群の3.4%、プラセボ群の1.5%で発生した。

 Tannock氏は、以上の成績から、「mCRPC患者に対してドセタキセル/プレドニゾンにafliberceptを加えても、OSは延長しなかった。PSAや腫瘍に対しては一定の効果が示唆されたが、副作用のために投与期間の短縮を余儀なくされた」と結論。その上で、VENICE試験を含め、ドセタキセル/プレドニゾンに分子標的治療薬を追加した多くの臨床試験で生存期間の延長が示されていないことから、今後この種の大規模フェーズ3試験を実施する際には、効果がかなり高いことを示すエビデンスが前段階までに得られている場合に限るべきと指摘した。