初発膠芽腫において、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を用いてベバシズマブの効果を予測する遺伝子診断(PRoB-GBM)の可能性が、化学放射線療法とベバシズマブ併用を検討したRTOG 0825試験の遺伝子解析研究から明らかにされた。5月31日から米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会の年次集会(ASCO 2013)で、米The University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのErik P. Sulman氏らが発表した。

 RTOG 0825試験は、初発膠芽腫患者637人を対象に、標準的なテモゾロミドと放射線療法の併用に、ベバシズマブを追加することを検討したフェーズ3試験。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はベバシズマブ追加により延長する傾向が示されたが、全生存期間(OS)は有意な改善は見られなかったことが、ASCO2013で発表されている。
 
 同試験では副次評価項目として、ベバシズマブが有効な患者群を同定することが設定されていた。そこでベバシズマブの効果を予測するため、試験に登録した患者から得られたFFPE組織を用いて遺伝子解析を行った。

 高悪性度神経膠腫では、生存に関わる遺伝子のクラスター分析で、3つあるいは4つのサブタイプに分けられ、各サブタイプは主な遺伝子の機能から、間葉系(mesenchymal)、前神経(proneural)などといわれている(Phillips et al. 2006, Verhaak et al. 2010)。膠芽腫では、間葉系の遺伝子群の高発現は、浸潤、血管新生、予後不良との関連が報告されている。

 また膠芽腫では予後因子として9つの遺伝子が同定されている(Colman et al. 2010)。9遺伝子のうち7遺伝子は間葉系の遺伝子であるが、発現シグネチャーとPFSおよびOSとの関連性を見た結果、ベバシズマブ群においては、間葉系遺伝子の高発現とPFSおよびOSの低下が有意に関連することが示された。
 
 次に、別の遺伝子セットを使って、PCRで予測因子を求めたところ、先の9遺伝子とは異なるベバシズマブの効果予測因子(PRoB-GBM:Predictor of Response to Bevacizumab in GBM)が同定された。この効果予測因子をRTOG 0825試験の一部の患者に当てはめたところ、PFSとOSは有意に予測可能であることが確認された。

 治療別にみると、PRoB-GBMの「favorable」クラスのOS中央値はベバシズマブ群では20.3カ月だが、標準治療のみの群では17.9カ月、「unfavorable」クラスではベバシズマブ群は10.4カ月だが、標準治療のみの群では15.4カ月と推算され、PRoB-GBMによりベバシズマブの効果が予測できる可能性が示唆された。

 またPRoB-GBMのunfavorableクラスでは間葉系の遺伝子発現が大半を占め、逆にfavorableクラスでは、非間葉系の遺伝子発現が大半を占めることも確認された。

 なおPRoB-GBMはベバシズマブの初回治療における効果は予測可能だが、再発後のサルベージ治療では予測因子とはならなかった。

 これらの結果から、「PRoB-GBM はベバシズマブで有用性が得られる初発膠芽腫患者を明らかにするために役に立つだろう」とし、RTOG 0825試験の他の患者においても、さらに検証する必要があるとした。

[訂正]6/26に記事を全般的に修正しました。