独Grosshansdorf病院のMartin Reck氏らは、第1選択薬を用いた治療後に進行を見た非小細胞肺癌(NSCLC)患者を登録したLUME Lung1試験で、ドセタキセルにnintedanibを追加すると、腺癌患者、扁平上皮癌患者の両方に無増悪生存期間の延長が見られることを明らかにした。ASCO2013で6月3日に報告された。

 非小細胞肺癌(NSCLC)に対する第2選択薬の選択肢は少なく、ドセタキセルが標準的に用いられている。

 nintedanibは血管内皮増殖因子(VEGF)受容体1-3と血小板由来増殖因子(PDGF)受容体αとβ、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体1-3、そしてRET、Flt3を標的とする強力な低分子チロシンキナーゼ阻害薬。これまでに、ドセタキセル、ペメトレキセド、パクリタキセル/カルボプラチン、ゲムシタビン/シスプラチン、アファチニブと併用した場合の忍容性が確認されている。また、再発性NSCLCに単剤で用いるフェーズ2が進行中だ。

 研究者たちは、NSCLC患者にnintedanibとドセタキセルを併用した場合の有効性と安全性をドセタキセルのみを用いた場合と比較する、二重盲検の無作為化フェーズ3試験を欧州、アジア、南アフリカで行った。

 2008年12月23日から2011年2月9日まで患者登録を実施。第1選択薬を用いた治療後に進行を見た、局所進行性または転移性でステージIIIb/IV、もしくは再発性のNSCLC患者で、全身状態を示すECOG PSスコアが0-1の1314人を登録した。655人(東洋人が18.0%)をドセタキセル(75mg/m2を21日サイクルの1日目に静注)+nintedanib (200mgを1日2回、2日目から21日目まで経口投与)に、659人(東洋人が18.8%)を偽薬+ドセタキセルに割り付けた。

 主要転帰評価指標は、外部評価委員会の分析による無増悪生存期間に設定。713人の患者が進行を経験した時点で、modified RECIST基準を用いて評価することになっていた。2次評価指標は全生存期間とし、1151人が死亡した時点で分析した。

 両群の患者特性に差は無かった。登録患者のうち、腺癌患者はnintedanib群の49.2%、偽薬群の51.0%、扁平上皮癌は42.1%と42.2%を占めていた。

 無増悪生存期間の中央値はnintedanib群で有意に長かった。Nintedanib群が3.4カ月、偽薬群は2.7カ月で、ハザード比は0.79(95%信頼区間:0.68-0.92、p=0.0019)。nintedanib群の利益は組織型にかかわらず有意だった。腺癌患者のハザード比は0.77(p=0.02)、扁平上皮癌患者も0.77(p=0.02)になった。サブグループ解析でも、ほとんどの患者群がnintedanib追加により利益を得られることが示された。

 全生存期間は、腺癌患者ではnintedanib群で有意に長かった。12.6カ月と10.3カ月でハザード比は0.83(p=0.0359)。一方、扁平上皮癌患者の全生存期間には有意差は見られなかった。8.6カ月と8.7カ月でハザード比は1.01(p=0.8907)。すべての患者を対象に分析すると、全生存期間は延長傾向を示した。中央値は10.1カ月と9.1カ月で、ハザード比は0.94(95%信頼区間:0.83-1.05、p=0.272)。サブグループ解析を行ったところ、脳転移有り患者以外の集団はnintedanib追加によって生存利益を得られる傾向が見られた。

 病勢コントロール率(完全奏効+部分奏効+病勢安定)は、nintedanib群で有意に高かった。腺癌患者ではnintedanib群の病勢コントロール率は60.2%、偽薬群では44.0%で、オッズ比1.93(0.0001)、扁平上皮癌患者ではそれぞれ49.3%と35.5%で、オッズ比は1.78(p<0.0009)になった。

 グレード3以上の全ての有害事象の発生率は71.3%と64.3%だった。中でも多く見られたのは下痢で、グレード3以上は6.6%と2.6%に見られた。グレード3以上のALT上昇は7.8%と0.9%に認められた。グレード3以上の高血圧、出血、血栓症などの有害事象による脱落は22.7%と21.7%で、両群間に有意差は無かった。

 ドセタキセルにnintedanibを追加すると、組織分類にかかわらずNSCLC患者の無増悪生存期間が延長すること、腺癌患者においては全生存期間も延びることが明らかになった。有害事象は多くが用量削減または対症療法により管理可能だった。第2選択となる化学療法に分子標的薬を追加すると全生存期間が向上することを示した研究は、これが初めて。