初発膠芽腫患者において、治療開始時の認知機能および10週までの変化が全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の予測因子であることが、化学放射線療法へのベバシズマブ追加を検討したRTOG 0825試験の解析で明らかになった。5月31日から米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会の年次集会(ASCO 2013)で、米The University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのJeffrey Scott Wefel氏らが発表した。

 RTOG 0825試験では、新規膠芽腫患者を対象に、放射線療法とテモゾロミドの併用に加え、ベバシズマブもしくはプラセボを投与した。その結果、ベバシズマブ投与により主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は有意ではないものの改善し、全生存期間(OS)では改善は見られなかったことが報告されている。

 同試験では副次評価項目として神経認知機能の評価を設定していた。神経認知機能は、ホプキンス言語学習テスト改訂版(HVLT-R)、Trail Making Test(TMT)、言語流暢性検査(COWA)を用いて評価した。さらにHVLT-Rによる記憶、TMT による処理速度と実行機能、COWA による言語流暢性などを総合したClinical trial battery composite(CTB COMP)を全般的認知機能の評価項目として用いた。

 542人から同意が得られ、507人を2群にランダム化した。検査の完遂率はベースライン時では検査によって93-97%、10週目では69-73%、22週目では54-63%、34週目は49-52%であり、プラセボ群とベバシズマブ群の完遂率はほぼ同じだった。ただし46週目ではプラセボ群が57%であるのに対し、ベバシズマブ群は40-43%と低かった。

 解析では、増悪が見られない患者において、ベースライン時の神経認知機能およびその早期変化(ベースラインから10週まで)と、PFSおよびOSの関連性が検討された。その結果、ベースライン時の記憶(再生)、実行機能、処理速度、言語流暢性、全般的認知機能はOSの有意な予測因子であり、記憶(再認)の早期変化、全般的認知機能の早期変化もOSの有意な予測因子であった。PFSについてはベースライン時の全般的認知機能が有意な予測因子であることが示された。

 次に、増悪のない患者において、治療による認知機能の変化が検討された。ベースライン時から34週までの変化を比較したところ、TMTで評価された処理速度が低下した患者がプラセボ群は8%だが、ベバシズマブ群は25%(p=0.005)、実行機能の低下がプラセボ群は17%だが、ベバシズマブ群は36%(p=0.01)だった。また経時的にも、全般的認知機能(CTB COMP)、実行機能(TMT、COWA)、処理速度(TMT)はプラセボ群に比べて、ベバシズマブ群で低下していた。

 これらの結果の理由についてWefel氏は、ベバシズマブ治療により画像評価が難しく増悪の検出能が下がっている可能性、正常な脳の発達や神経発生、学習や記憶といった認知機能などに重要であるVEGFを阻害することが神経毒性に関与する可能性などを述べた。しかしベバシズマブ治療を受け、認知機能の低下を伴わずに生存が延長できる患者もいるため、今後さらに検討する必要性を話した。