転移性大腸癌の初回治療として、パニツムマブとFOLFOX4併用療法とFOLFOX4単独療法を比較したフェーズ3試験PRIMEの後方視的解析で、KRAS/NRAS変異がパニツムマブとFOLFOX4併用療法のネガティブな効果予測因子であることが明らかになった。5月31日から米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会の年次集会(ASCO 2013)で、米Amgen社のKelly S. Oliner氏らが発表した。

 パニツムマブはEGFRを標的とした完全ヒト型モノクローナル抗体。これまでにKRAS exon 2変異を有する患者では抗EGFR治療の効果は低いことが報告されている。またパニツムマブ単独投与のフェーズ3試験を含む探索的研究でも、KRAS変異あるいはNRAS変異のある大腸癌患者では効果が低いことが示されている。

 PRIME試験は、未治療転移性大腸癌患者を対象に、パニツムマブとFOLFOXの併用とFOLFOX単独を比較した国際的多施設共同ランダム化フェーズ3試験。今回の後方視的解析では、RAS(KRASとNRAS)とBRAFの変異による全生存期間 (OS)と無増悪生存期間(PFS)への影響を調べた。なお遺伝子変異はKRAS exon 3とexon 4、NRAS exon 2と exon 3、exon 4、さらにBRAF exon 15で検索された。

 RAS変異はパニツムマブとFOLFOX併用群、FOLFOX単独群のいずれも90%の患者で確認された。BRAF変異はいずれも52%であった。

 解析の結果、RAS野生型の大腸癌患者で、パニツムマブとFOLFOX併用群のOS中央値は26.0カ月、それに対してFOLFOX単独群では20.2カ月、ハザード比は0.78(95%信頼区間:0.62-0.99、p=0.043)だった。

 一方、RAS変異型の患者では、パニツムマブとFOLFOX併用群でのOS中央値は15.6カ月、FOLFOX単独群は19.2カ月、ハザード比は1.25(95%信頼区間:1.02-1.55、p=0.034)。またKRAS exon 2野生型で、その他のRAS遺伝子は変異型の患者では、OS中央値はそれぞれ17.1カ月、18.3カ月で、ハザード比は1.29(95%信頼区間:0.79-2.10、p=0.305)であった。

 PFSは、RAS野生型では、中央値はパニツムマブとFOLFOX併用群で10.1カ月、FOLFOX単独群では7.9カ月、ハザード比は0.72(95%信頼区間:0.58-0.90、p=0.004)となった。

 しかしRAS変異型の患者では、PFSはそれぞれ7.3カ月、8.7カ月、ハザード比は1.31(95%信頼区間:1.07-1.60、p=0.008)であった。またKRAS exon 2野生型で、その他のRAS遺伝子は変異型の患者では、それぞれ7.3カ月、8.0カ月、ハザード比は1.28(95%信頼区間:0.79-2.07、p=0.326)だった。

 BRAF 遺伝子については、RAS野生型でBRAF野生型の患者では、OSのハザード比が0.74(p=0.023)、PFSは0.68(p=0.002)、それに対し、RAS野生型でBRAF変異型の患者ではOSもPFSも2群間に有意な違いはなかった。ただしパニツムマブとFOLFOX併用群も、FOLFOX単独群も、BRAF野生型の患者で予後が優れていたことから、BRAF変異はパニツムマブとFOLFOX併用の効果予測因子にはならないとした。またBRAF変異型患者のOS中央値は低く、BRAF変異は予後不良因子である可能性が示唆された。

 新たな有害事象はなく、RAS野生型および変異型患者における有害事象はすでにKRAS(exon2)野生型患者で報告されていた有害事象と同様であった。

 これらの結果から、「RAS変異はパニツムマブとFOLFOX併用による治療を受けた患者において、ネガティブな予測因子である可能性がある。パニツムマブとオキサリプラチンを含むレジメンは、RAS変異型転移性大腸癌患者に使うべきではないだろう」とした。