切除可能なHER2陰性乳癌に対し、術前補助化学療法にゾレドロン酸を追加することにより、有意差には至らなかったものの、病理学的完全奏効(pCR)率が改善し、閉経後でトリプルネガティブ乳癌の患者に有用である可能性が、多施設共同のランダム化比較試験から示唆された。5月31日から6月4日まで米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、群馬大学大学院臓器病態外科学(第二外科)の堀口淳氏が発表した。

 ゾレドロン酸は、抗癌剤との併用において、相乗的に増殖抑制効果を示すことが明らかになっている。

 堀口氏らは、原発腫瘍に対する術前補助化学療法にゾレドロン酸を追加した場合のpCR率を評価し、ゾレドロン酸の相乗効果を検討した。

 対象は、切除可能、IIA-IIIB期、HER2陰性の浸潤性乳癌で、腫瘍が3cm以上または2cm以上かつリンパ節転移陽性、20-79歳、ECOG PS 0-1の患者とした。ゾレドロン酸と化学療法を併用する群(ZOL+CT群)または化学療法のみの群(CT群)に、患者を1対1でランダムに割り付けた。層別化因子は、リンパ節転移の有無、エストロゲン受容体(ER)の状態、閉経の状態だった。

 化学療法は、FEC100療法(フルオロウラシル、エピルビシン、シクロホスファミド)を3週毎に4サイクル施行し、その後weeklyパクリタキセル80mg/m2を12サイクル施行するレジメンとした。ZOL+CT群では、ゾレドロン酸4mgを3-4週毎に計7回投与した。最後の術前補助化学療法の終了後、5週以内に手術が行われた。主要評価項目はpCR率だった。

 2010年3月から2012年4月までに188人が登録され、ZOL+CT群93人、CT群95人となった。術前補助化学療法を受け、最終的に有効性解析の対象となったのは、ZOL+CT群88人(年齢中央値49.5歳)、CT群92人(49歳)だった。

 患者背景には両群で有意差はなかった。ZOL+CT群とCT群において、閉経後の患者はそれぞれ38人と39人、ER陽性は71人と75人、プロゲステロン受容体陽性は66人と69人だった。リンパ節転移陽性は両群ともに58人だった。

 結果として、ゾレドロン酸の追加によりpCR率は上昇を示したが、有意差には至らなかった。pCR率は、ZOL+CT群14.8%、CT群7%となった(p=0.068)。

 pCR率をサブタイプ別にみると、LuminalのZOL+CT群は9.9%、CT群は9.3%(p=0.413)、トリプルネガティブではそれぞれ35.3%と11.8%だった(p=0.057)。

またpCR率を閉経の状態でみると、閉経前のZOL+CT群は12.0%、CT群9.6%(p=0.472)、閉経後ではそれぞれ18.4%と5.1%となった(p=0.071)。

 閉経後でトリプルネガティブ乳癌の患者は17人と少なかったものの、pCR率は、ZOL+CT群(8人)50%、CT群(9人)0%となり、有意差が認められた(p=0.029)。

 重度の毒性の発現は両群で有意差はなかった。ZOL+CT群とCT群において、グレード3以上かつ患者の5%以上に発現した有害事象は、白血球減少がそれぞれ43.2%と32.6%、好中球減少が44.3%と37.0%、発熱性好中球減少が14.8%と15.2%、感覚性の末梢神経障害は9.1%と5.4%だった。