センチネルリンパ節転移陽性乳癌患者に対して、腋窩リンパ節郭清(ALND)と腋窩照射(ART)は同等の局所制御が可能であり、ARTは短期および長期にわたり浮腫のリスクを軽減することが、欧州のフェーズ3試験であるEORTC AMAROS試験の最終結果で明らかになった。5月31日から米国シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会の年次集会(ASCO 2013)で、オランダNetherlands Cancer InstituteのEmiel J. Rutgers氏らが発表した。

 センチネルリンパ節転移陽性乳癌に対しては、ALNDが標準的に行われるが、副作用もある。そこで、AMAROS試験は、非劣性を検証するフェーズ3試験として、センチネルリンパ節転移陽性患者を対象に、ALNDとARTが比較された。

 cT1-2N0の原発性乳癌患者4806人が試験に登録され、センチネルリンパ節転移陽性患者をALND群とART群に無作為化に割付けた。主要評価項目は5年時点の腋窩リンパ節再発率、副次評価項目は1年および5年時点での全生存 (OS)、無病生存(DFS)、生活の質(QOL)、肩の動き、リンパ浮腫とした。

 センチネルリンパ節転移陽性患者は、ALND群では744人、ART群は681人(ITT解析集団)で、プロトコルに従った治療が実施されたのはそれぞれ598 人、535人(PP解析集団)だった。
 
 PP解析とITT解析では同じ結果が得られたため、今回の発表ではITT解析の結果が報告された。2群の患者背景は、年齢、腫瘍サイズ、グレード、腫瘍タイプ、術後補助療法に関し、ほぼ同じであった。

 解析の結果、センチネルリンパ節転移陽性患者での5年腋窩リンパ節再発率は、ALND群では0.43% (再発は4人)、ART群は1.19% (同7人)だった。ただしイベント数が少なかったため、計画されていた非劣性検定は検出力不足であった。一方、センチネルリンパ節転移陰性患者での5年腋窩リンパ節再発率は0.72%だった。

 DFSは2群間に有意な違いがなかった(ハザード比1.17、p=0.18)。OSについても2群間に違いはなかった(ハザード比1.17、p=0.34)。

 リンパ浮腫の発生はALND施行後で有意に多かった。 1年時点でALND群では40.0%だが、ART群は21.7%(p<0.0001)、3年時点でALND群は29.8%、ART群は16.7%(p<0.0001)、5年時点でALND群は28.0%、ART群は13.6%だった(p<0.0001)。
 
 腕の動きについては、1年時点でALND群に比べてART群で動きが低下していたが、全体的には2群で大きな違いはなかった。QOLはEORTC QLQ-C30とBR23を用いて評価され、結果、2群で有意な違いはなかった。

 これらの結果から、「センチネルリンパ節転移陽性後のALNDとARTは同等の局所制御が可能であり、ARTは浮腫を有意に軽減させる。ARTは標準治療と考えることができる」とした。