放射線療法を行った高リスク前立腺癌に対するアンドロゲン除去療法の施行期間について、36カ月と18カ月の間で予後は変わらなかったことが示された。5月31日から米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、カナダUniversitairede SherbrookeのAbdenour Nabid氏が発表した。

 放射線療法とアンドロゲン除去療法は高リスク前立腺癌に対する標準治療となっているが、アンドロゲン除去療法の最適な期間は定まっていない。

 そこで同グループは、2000年10月から2008年1月までに、放射線療法を行った高リスク前立腺癌患者を対象に、アンドロゲン除去療法を36カ月もしくは18カ月行った場合の予後を比較するPCS IV試験を行った。

 対象は、T3/4で、PSA値20ng/mL超もしくはGleasonスコア7超の、リンパ節転移のない高リスク前立腺癌。骨盤に対する放射線療法(骨盤全照射44Gy/4.5週間、前立腺に対する照射70Gy/7週間)を行うとともに、アンドロゲン除去療法を放射線療法前に4カ月、同時および放射線療法後の投与として、36カ月行う群と18カ月行う群に割り付けた。

 アンドロゲン除去療法は、ビカルタミド50mg1カ月間投与に加えて、ゴセレリン10.8mgを、36カ月群は3カ月投与を12サイクル、18カ月群は3カ月投与を6サイクル行った。

 主要評価項目は全生存期間(OS)とした。

 36カ月群は310例、18カ月群は320例だった。年齢中央値は71歳、PSA中央値は16ng/mL、Gleasonスコア中央値は8だった。多くの患者はT2〜T3だった。

 危険因子として、T3-4が36カ月群26.5%、18カ月群22.8%、2群合計24.6%、PSA値20ng/mL以上が36カ月群45.8%、18カ月群42.8%、2群合計44.3%、Gleasonスコア7超が36カ月群59.4%、18カ月群60.6%、2群合計60.0%、Gleasonスコア8が36カ月群39.7%、18カ月群40.3%、2群合計40.0%、Gleasonスコア9〜10は36カ月群19.7%、18カ月群20.3%、2群合計20.0%だった。

 アンドロゲン除去療法の結果、PSA再発を来したのは36カ月群19.7%、18カ月群24.7%、セカンドライン治療としてアンドロゲン除去療法を行ったのは36カ月群15.5%、18カ月群19.4%で、2群間で有意差はなかった。

 骨盤内リンパ節転移が認められたのは、36カ月群1.3%、18カ月群1.3%、骨転移を来したのは36カ月群8.1%、18カ月群7.8%で、2群間で差はなかった。

 死亡理由は、二次癌死が36カ月群6.1%、18カ月群8.8%、前立腺癌死がそれぞれ5.2%、5.9%、死因不明が1.3%、1.3%、心血管死が5.2%、4.7%、呼吸器疾患死が3.5%、2.5%だった。前立腺癌特異的死亡率は、5年の段階で36カ月群96.6%、18カ月群95.3%、10年の段階では36カ月群84.1%、18カ月群83.7%で、ハザード比1.07(95%信頼区間:0.62-1.84、p=0.819)で、2群間に差はなかった。

 OSについて検討した結果、5年OS率は36カ月群91.1%、18カ月群86.1%、10年生存率は36カ月群61.9%、18カ月群58.6%、ハザード比1.15(95%信頼区間:0.85-1.56、p=0.366)で、2群間に差は認められなかった。

 5年OS率は、36カ月群91.1%、18カ月群86.1%で有意差はなく(p=0.06)、5年癌特異的生存率は36カ月群96.6%、18カ月群95.3%で、こちらも有意差は認められなかった(p=0.427)。

 多変量解析を行った結果、OSに寄与する有意な因子として見出されたのは年齢とGleasonスコア7超の2つだけだった。

 Nabid氏は、過去に行われた、アンドロゲン除去療法の36カ月と6カ月を比較したEORTCの試験で、5年生存率が36カ月群84.8%、6カ月群81%であったことを引用し、今回の結果から、アンドロゲン除去療法の18カ月施行は、36カ月施行による治療成績と遜色のない成績を得るための閾値となるだろうと語った。現在、治療期間によるQOLの違いについて評価を進めている。