初発膠芽腫において、ベバシズマブの化学放射線療法への追加は、無増悪生存期間(PFS)を改善するとともに、健康関連QOLやKarnofsky Performance Status (KPS)を維持させ、さらに副腎皮質ステロイドの使用を減少させることが、AVAglio試験で明らかになった。5月31日から米国シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会の年次集会(ASCO 2013)で、スウェーデンKarolinska University HospitalのRoger Henriksson氏らが発表した。

 膠芽腫は脳腫瘍の中でも悪性度が高く、予後不良で、健康関連QOLに対し影響を与える。AVAglio 試験は、初発の膠芽腫患者921人を対象に、術後または生検後に、テモゾロミドを用いた化学放射線療法に加え、ベバシズマブを投与した群(以下、ベバシズマブ群)とプラセボを投与した群(以下、プラセボ群)を比較した無作為化二重盲検プラセボ対照のフェーズ3試験。

 治療は、放射線療法とテモゾロミドに、ベバシズマブもしくはプラセボを併用し、6週間投与した。28日間休薬した後、維持療法としてベバシズマブもしくはプラセボとテモゾロミドを6サイクル投与、また病勢進行または許容できない毒性の発現までベバシズマブもしくはプラセボを単剤投与した。

 主要評価項目は全生存期間(OS)と試験担当医師によるPFSで、ベバシズマブ投与によってPFSは有意に延長するが、OSの改善は見られないことが報告されている。
 
 副次的評価項目には健康関連QOLの評価(EORTC QLQ-C30とBN20)が含まれ、QLQ-C30では全般的健康状態、身体機能、社会生活機能を、BN20では運動機能、コミュニケーション能力を評価した。

 健康関連QOLでは、質問票のスコアがベースラインから10ポイント以上低下した場合を悪化とし、悪化までの生存期間(DFS)は、健康関連QOLの悪化、あるいは病勢進行(PD)、あるいは死亡までの期間と定義された。

 健康関連QOLの各項目における2群のスコアはベースライン時にはほぼ同じであった。治療の結果、全般的健康状態に関するDFS中央値は、プラセボ群は3.9カ月、ベバシズマブ群は6.4カ月(ハザード比0.64、p<0.0001)だった。またPDを除いたDFS中央値はそれぞれ5.6カ月、8.5カ月(ハザード比0.76、p=0.0041)であった。
 
 身体機能に関するDFS中央値は、プラセボ群は4.2カ月、ベバシズマブ群は6.1カ月(ハザード比0.70、p<0.0001)。PDを除いたDFS中央値はそれぞれ6.1カ月、7.3カ月(ハザード比0.90、p=0.2394)だった。
 
 社会生活機能に関するDFS中央値は、プラセボ群は4.1カ月、ベバシズマブ群は7.4カ月(ハザード比0.63、p<0.0001)。PDを除いたDFS中央値はそれぞれ6.6カ月、11.8カ月(ハザード比0.78、p=0.0113)であった。
 
 運動機能に関するDFS中央値は、プラセボ群は5.0カ月、ベバシズマブ群は8.6カ月だが(ハザード比0.67、p<0.0001)、PDを除いたDFSはプラセボ群では中央値に達しておらず、ベバシズマブ群は中央値が31.6 カ月で有意差がなかった。
 
 コミュニケーション能力ではDFS中央値が、プラセボ群は4.2カ月、ベバシズマブ群は6.9カ月(ハザード比0.67、p<0.0001)。PDを除いたDFS中央値はそれぞれ7.9カ月、10.1カ月(ハザード比0.80、p=0.0295)であった。
 
 縦断的な解析では、健康関連QOLは2群間で経時的な違いは見られなかった。ただしPFSにおける健康関連QOLの安定もしくは改善の期間はすべての項目でベバシズマブ群のほうが長い傾向を示した。

 またPFSにおける機能的な自立(KPS 70%以上)の期間は、プラセボ群は中央値で6カ月、ベバシズマブ群は9カ月だった。また20ポイント以上のKPS低下までの期間は、プラセボ群は5.5カ月、ベバシズマブ群は9.0カ月(ハザード比0.65、p<0.0001)であった。

 ベースライン時に副腎皮質ステロイドを使用していた患者では、5日以上連続した中止がベバシズマブ群で66%、プラセボ群で47%であった。またベースライン時に副腎皮質ステロイドを使用していなかった患者では、使用開始までの期間中央値がベバシズマブ群で12.3カ月だが、プラセボ群は3.7カ月であった(ハザード比0.71、p=0.0018)。

 以上のことから、「化学放射線療法へのベバシズマブの追加は臨床的に意義があり、PFSを有意に改善するとともに、健康関連QOLや機能的自立の維持をもたらし、患者はプラセボ群に比べて症状や機能的低下がない期間をより経験した」とした。