ALK阻害薬による治療歴がないALK陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、現在開発中の選択的ALK阻害薬CH5424802は奏効率が93.5%と高い腫瘍縮小効果を示したほか、安全性プロファイルにも優れ、新たなALK阻害薬として有望であることがフェーズ1/2試験の最終報告で明らかとなった。5月31日から6月4日にかけて米シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、近畿大学医学部の中川和彦氏が発表した。

 多施設共同の単群オープンラベルフェーズ1/2試験は、日本の13施設から登録された患者58人を対象にCH5424802の有効性と安全性について評価した。

 中川氏らは、昨年のESMOで同試験の中間解析として、CH5424802が臨床的に意義のある腫瘍効果と良好な毒性プロファイルを得られたことを報告している。今回はその最新結果が報告された。

 対象となったのは、ALK融合遺伝子発現陽性で、組織学的または細胞学的に確認された進行性または転移性のNSCLC患者。ALK阻害薬の治療歴がなくECOG PSは0-1で、化学療法の前治療歴が1または2レジメン以上あり、標準化学療法の既治療がない測定可能病変を有することとした。

 患者は、21日を1サイクルとしてCH5424802を用量20-300mg(1日2回)までの範囲で、進行または忍容不能の毒性の発現まで継続投与した。フェーズ1試験には12人が、フェーズ2試験には46人が登録され治療を受けた。

 フェーズ1試験では、事前に計画された最大用量300mg(1日2回投与)まで用量制限毒性(DLT)は見られず、その結果として決定されたフェーズ2試験における推奨用量300mgの投与を受けた患者46人について解析を行った。

 患者背景は、年齢中央値は48.0歳で、平均的なNSCLC患者よりも若い傾向にあった。全ての患者が腺癌で、300mgのCH5424802を投与された患者の31%が前治療で3レジメン以上、最も多い患者では9レジメンの化学療法を受けていた。

 抗腫瘍効果の評価は、独立審査委員会(IRC)によって行われ、臨床転帰は2013年3月時点をベースとして評価した。

 解析の結果、IRC評価による客観的奏効率は93.5%(95%信頼区間:82.1-98.6)で、うち40人が部分奏効(PR)、3人が完全奏効(CR)と優れた治療効果が確認された。さらに全ての患者において30%以上の腫瘍縮小効果が認められた。また、特に注目すべきは抗腫瘍効果発現までの期間中央値が0.7カ月と短いことで、PRまでの期間は88%の患者が6週間以内、65%の患者においては3週間以内であることが確認された。 

 安全性に関して58人について解析すると、治療関連の有害事象は55人で認められたが、ほとんどがグレード1/2の味覚障害(36%)、発疹(34%)、AST上昇(33%)、血中ビリルビン上昇(33%)、血中クレアチニン上昇(29%)、便秘(29%)、ALT上昇(26%)などだった。グレード3の治療関連の有害事象は15人(好中球減少7%)で認められたが、ALK阻害剤であるクリゾチニブで特徴的な副作用である視力障害や嘔気・嘔吐の発生はまれ、または発生しても軽度だった。グレード4および死亡はいなかった。

 発表者である中川氏によると、同試験は74%の患者が現在も治療を継続しており、治療期間の中央値は14カ月を超える見込みで、治療効果についてはさらに高まる可能性が強いという。また、毒性プロファイルに優れているため、最大の課題である初回治療としての有効性を検証するため既存のALK阻害薬との比較対照試験も近い将来計画される予定だという。