抗PD-L1抗体MPDL3280Aが、進行腎細胞癌患者に対して有用な可能性があることが確かめられた。現在進行中のフェーズ1a試験で、十分な忍容性と抗腫瘍効果が示された。5月31日からシカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、米国Beth Israel Deaconess Medical CenterのDaniel C. Cho氏が発表した。

 MPDL3280Aは、種々の癌細胞で発現されるPD-L1を標的とするモノクローナル抗体製剤だ。PD-L1はT細胞上のPD-1と結合することによってT細胞の働きを抑制することが知られており、抗PD-L1抗体は、癌細胞に対するT細胞の活性を回復させ、強化することが期待される。

 MPDL3280Aはさらに、有効性と安全性を高める目的で、活性化T細胞に対する抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)を抑えるための修飾がFc領域に施されている

 拡大フェーズ1a試験では、非小細胞肺癌、腎細胞癌、悪性黒色腫などの局所進行癌または転移癌を有する患者に対して、MPDL3280Aを10mg/kg、15mg/kg、20mg/kgのいずれかの用量で3週毎に16回静注投与する。その後、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、病勢安定(SD)が得られた患者は12週毎に病勢進行(PD)が認められるまでフォローアップした。Cho氏は今回、腎細胞癌患者に対する今年2月1日までの結果を発表した。

 被験者55人の年齢の中央値は62歳(33〜79歳)で、ECOG PSの内訳は0が32人(58%)、1が23人(42%)だった。腎細胞癌の組織型は、淡明細胞癌が48人(87%)、乳頭状癌が4人(7%)、肉腫様癌が2人(4%)だった。

 安全性について、頻度の高い有害事象は、疲労19人(35%)、関節痛18人(33%)、咳15人(27%)、発熱14人(26%)などだった。ただし、その大部分はグレード1/2であり、グレード3/4の有害事象は、疲労2人(4%)、発熱1人(2%)、呼吸困難3人(6%)、頭痛1人(2%)のみだった。

 この種の抗体製剤として注目される、グレード3〜5の肺炎も、グレード3〜4の免疫関連有害事象も観察されなかった。治療に関連した死亡は1例もなく、最大耐量(MTD)も用量制限毒性(DLT)も認められなかった。

 奏効率(ORR)は、腎細胞癌患者全体(47人)では13%であり、組織型別では淡明細胞癌(40人)で13%、それ以外で17%だった。24週間以上SDが得られた患者の割合は32%、24週時点での無増悪生存率は53%だった。

 CR/PR/SDの比率をPD-L1発現の有無別にみたところ、PD-L1陽性例では10%/10%/60%、PD-L1陰性例では0%/10%/52%であり、完全奏効を認めたのはPD-L1陽性例のみだった。

 定期的なCT検査による腫瘍量の評価では、MPDL3280Aの投与開始後、短期間で腫瘍量が大きく減少した患者や、徐々に腫瘍量が減少した患者が一部に認められた。

 以上の結果からCho氏は、「MPDL3280Aに対する腎細胞癌患者の忍容性は良好であり、重大な有害事象もみられなかった。抗腫瘍効果も示されており、今後、さらに臨床試験を進めることを予定している」と結論した。