治癒切除後膵癌に対する術後補助化学療法として、S-1単独投与、ゲムシタビン+S-1併用投与は、ゲムシタビン単独投与に比べて全生存期間(OS)や無病生存期間(DFS)が同等もしくは延長する傾向が示された。日本で行われた多施設共同フェーズ2試験(CAP-002研究)の結果。5月31日から米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、千葉大学の吉富秀幸氏が発表した。

 治癒切除後の膵癌に対する術後補助療法の標準治療はゲムシタビンとなっているが、その予後は依然として不良で、新しい治療法が求められている。また最近、GEST試験において、切除不能膵癌に対する無増悪生存期間(PFS)について、ゲムシタビン単独投与に対するS-1の非劣性、およびS-1+ゲムシタビン併用(GS)の優越性が示された。

 そこで同グループは、治癒切除後の膵癌に対する術後補助療法として、S-1単独療法、ゲムシタビン+S-1併用療法をゲムシタビン単独療法と比較するCAP-002研究を行った。 

 術後患者を、ゲムシタビン単独群(28日を1サイクルとしてゲムシタビン1000mg/m2をday1、day8、day15に投与し、12サイクル繰り返す)、S-1単独群(21日を1サイクルとして体表面積に応じて1日80/100/120mgのいずれかを、day1〜day14まで投与し、16サイクル繰り返す)、S-1+ゲムシタビン併用群(21日を1サイクルとしS-1は1日60/80/100mgのいずれかをday1〜day14に投与、ゲムシタビンは1000mg/m2をday8、day15に投与し、16サイクル繰り返す)に割り付けた。

 適格基準は、R0もしくはR1切除が得られた、化学療法、免疫療法または放射線療法の治療歴がない患者とした。

 主要評価項目は、2年無病生存率(DFS率)、副次評価項目は全生存期間(OS)、安全性と設定した。

 2006年12月から2010年7月までに登録された患者96例をランダム化、各群32例ずつに割り付けた。

 患者背景に3群間で有意な違いはなく、年齢は約66歳、膵頭部症例が66〜75%、T3+4が78〜91%、リンパ節転移陽性は69〜75%だった。R0切除が得られたのは約3割、手術から術後補助療法を開始する前の期間は約43日だった。

 治療を完遂したのは、ゲムシタビン単独群30%、S-1単独群48.4%、S-1+ゲムシタビン併用群は19.4%だった。治療を中止したのはゲムシタビン単独群70.0%、S-1単独群51.6%、S-1+ゲムシタビン併用群77.4%で、S-1単独群に比べてゲムシタビン単独群、S-1+ゲムシタビン群では有害事象による中止例が多かった。

 追跡の結果、2年DFS率は、ゲムシタビン単独群25.1%、S-1単独群28.1%、S-1+ゲムシタビン併用群34.4%で、S-1単独群はゲムシタビン単独群と同等、S-1+ゲムシタビン併用群はゲムシタビン単独群に比べて良好な傾向であったが、統計学的には有意差ではなかった。

 全生存期間(OS)中央値は、ゲムシタビン単独群21.4カ月、S-1単独群26.2カ月、S-1+ゲムシタビン併用群27.9カ月で、有意な差は認められなかった。

 グレード3/4の血液学的毒性は、S-1単独群に比べてゲムシタビン単独群、S-1+ゲムシタビン群で多く、また、グレード3の非血液学的毒性もS-1単独群に比べてゲムシタビン単独群、S-1+ゲムシタビン群で多かった。

 これらの結果から吉富氏は、ゲムシタビン単独群に対するS-1単独群はOSやDFSについて非劣性を示し、より毒性が少なかったこと、ゲムシタビン単独群に対するS-1+ゲムシタビン併用群はOSやDFSについて良好な傾向を示しており、特に長期の生存率を改善する傾向にあるとまとめ、今度、より大規模に有効性が検討される必要があると指摘した。