エストロゲン受容体(ER)陽性乳癌の術後タモキシフェン投与期間は、5年間よりも10年間の方が再発、死亡のリスクを低減できることが、無作為化フェーズ3試験aTTomの結果明らかとなった。昨年末のサンアントニオ乳癌シンポジウムで発表されたATLAS試験の結果でも5年間より10年間のタモキシフェンが良いことが示されており、改めて確認されたことになる。成果は5月31日から4日までシカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、英University of OxfordのRichard G. Gray氏によって発表された。

 aTTom試験は、1991年から2005年に英国の176施設で、早期浸潤性乳癌と診断され手術を受けたER陽性患者2755人とER未検査の患者4198人(80%がER陽性と見積もられる)を対象に、タモキシフェンを5年間投与し、そこで投与を中止する群と継続して10年間投与する群に分けて行われた。毎年、コンプライアンス、再発、死亡、入院についてのフォローアップが行われた。

 試験の結果、乳癌の再発は5年間投与群は3485人中672人、10年間投与群は3468人中580人で、10年間投与群の方が有意に少なかった。オッズ比は0.85(95%信頼区間:0.76-0.95)、p=0.003。

 5年間投与に比べての10年間投与の再発の減少は時間依存性だった。5年から6年目の患者のオッズ比は、1.10(95%信頼区間:0.88-1.38)、7年から9年の患者は、0.79(同:0.65-0.96)、10年から14年の患者は0.78(同:0.63-0.95)、15年以上の患者は0.66(同:0.43-1.02)だった。

 より長期間の投与は乳癌による死亡も減少させた。再発後の死亡が10年間群は404人、5年間群は452人だった。オッズ比は0.88(95%信頼区間:0.77-1.01)、p=0.06。抑制効果の差は年を経るごとに拡大した。

 非乳癌死には投与期間の影響はなく、10年間群は481人、5年間群が487人で、オッズ比は0.95(95%信頼区間:0.84-1.08)、p=0.4だった。

 子宮内膜癌の発生は10年間群は102人、5年間群が45人で、オッズ比は2.20(95%信頼区間:1.31-2.34)、p<0.0001で、有意に10年間群で多かった。そのうち死亡したのは10年間群は37人(1.1%)、5年間群が20人(0.6%)でオッズ比1.83(同:1.09-3.09)、p=0.02で10年間群で有意に多かった。

 ATLAS試験の結果と統合解析すると、乳癌死亡率は10年間投与に対して、5年間投与のオッズ比で、5から9年間では0.97、10年以上では0.75となった。