骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対し、ドセタキセルによる標準治療にストロンチウム89(Sr89)を併用することで、骨関連の無増悪生存は改善するが、全生存期間(OS)は改善しなかったことが、フェーズ3試験のTRAPEZE試験で明らかになった。またゾレドロン酸(ZA)の併用では骨関連の無増悪生存もOSも改善しなかったが、骨関連事象(SRE)およびSRE発生までの期間は有意に延長した。5月31日から米国シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会の年次集会(ASCO 2013)で、英University of BirminghamのNicholas David James氏らが発表した。

 TRAPEZE試験は、骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌を対象に、ドセタキセル(D)、ストロンチウム89(Sr89)、ゾレドロン酸(ZA)の3剤を用いたfactorial ランダム化フェーズ3試験。患者はDとプレドニゾロンによる標準治療のみの群(A群)、標準治療とZAを投与する群(B群)、標準治療とSr89を投与する群(C群)、標準治療とZA、Sr89を投与する群(D群)の4群に割りつけられた。

 A群では、D(75mg/m2、3週置き)とプレドニゾロン(10mg)を1-10サイクルに投与した。B群では、Dとプレドニゾロンに加え、ZA(4mg)を1-10サイクルに投与した。C群では、Dとプレドニゾロンを1-6サイクルに投与し、6サイクル目にSr89を投与、その後Dとプレドニゾロンを7-10サイクルに投与した。D群では、Dとプレドニゾロン、ZAを1-6サイクルに投与し、6サイクル目にSr89を投与、その後再びDとプレドニゾロン、ZAを7-10サイクルに投与した。

 主要評価項目は、臨床的な無増悪生存期間(CPFS)と費用対効果とした。CPFSは、骨の痛みの増悪、SREの初回発現、死亡までの期間と定義した。副次評価項目には、SREが発生するまでの期間(SREFI)とSREの発現、OSが含まれた。

 同試験では757人が無作為化割付された。解析では、Sr89についてSr89を使用しないA+B群とSr89を使用したC+D群を、ZAについてはZA を使用しないA+C群とZAを使用したB+D群を比較した。

 この結果、ZA使用群のCPFSの中央値が9.7カ月、ZA非使用群は8.8カ月で、有意差はなかった(多変量解析 ハザード比0.94、p=0.457)。一方、Sr89使用群のCPFSの中央値が9.8カ月、Sr89非使用群は8.8カ月で、有意差が示された(多変量解析 ハザード比0.85、p=0.036)。

 SREFIの中央値は、ZA使用群では18.1カ月、ZA非使用群は13.1カ月で、有意差が見られた(多変量解析 ハザード比0.74、p=0.005)。一方、Sr89使用群のSREFI中央値は16.4カ月、Sr89非使用群は14.7カ月だが、有意差はなかった(多変量解析 ハザード比0.87、p=0.177)。SREの発現数もZA使用群で少なかった。

 OSについては、中央値がZA使用群では16.8カ月、ZA非使用群は16.4カ月で、有意差はなかった(ハザード比1.01、p=0.906)。Sr89使用群のSREFIのOS中央値は17.1カ月、Sr89非使用群は16.1カ月で有意差はなかった(ハザード比0.97、p=0.736)。

 以上のことから、「Sr89は臨床的な無増悪生存を有意に改善するが、ゾレドロン酸では改善しなかった。一方、ゾレドロン酸は有意にSREの発現までの期間を延長し、SREの発現数も減少させることが確認された」とまとめた。