初期治療を受けて病勢進行が認められない進行卵巣癌患者に対するパゾパニブの維持療法は、プラセボに対して無増悪生存期間(PFS)を有意に改善することが示された。AGO-OVAR16試験の結果から明らかになったもので、5月31日から米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、ドイツKliniken Essen MitteのAndreas Bois氏が発表した。

 卵巣癌においては、初期治療において80%以上と高い奏効率が得られていても、その後の再発率も70%以上と高く、新しい治療法が求められている。

 卵巣癌では血管内皮増殖因子(VEGF)/血小板増殖因子(PDGF)系が重要な役割を果たしていると考えられていることから、今回、同グループはVEGF受容体、PDGF受容体、c-Kitのチロシンキナーゼ阻害薬であるパゾパニブの有効性を検討する国際共同フェーズ3試験AVO-OVAR16試験を実施した。なお、日本からもこの試験に参加している。

 試験は、初期治療として手術および化学療法を行った患者で、病勢進行(PD)が認められておらず、また腫瘍径が2cm未満の患者を登録し、パゾパニブ1日800mgを最大24カ月投与する群とプラセボを投与する群にランダム化し、PDまでとPD後の予後を検討した。診断からランダム化までの期間中央値は7カ月だった。

 適格基準は、FIGO基準によるステージII〜IVで、試験登録までにNED(No evidence of disease)もしくは完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、病勢安定(SD)が得られており、進行していない患者。5サイクル以上のプラチナベースレジメンを受けており、最後の化学療法から3週以降最大12週までの症例とした。除外基準は、腫瘍径が2cm以上で、すぐにセカンドライン治療が必要な患者と抗血管新生治療を受けている患者とした。

 主要評価項目はRECISTで評価する無増悪生存期間(PFS)で、副次評価項目は全生存期間(OS)、安全性、3年PFS率、GCIG基準によるPFS、QOLとした。

 登録患者940例は、プラセボ群に468例、パゾパニブ群に472例が割り付けられた。

 患者背景は、年齢57歳、ECOG PSが0だったのが77%、1が23%。FIGOステージIIが9%、IIIが75%、IVが17%。組織型は漿液性癌が73%と最も多く、粘液性癌4%、明細胞癌3%だった。手術成績は、肉眼的残存が認められなかったのが58%、化学療法として術前療法を受けていたのは28%、プラチナ併用療法を受けていたのは99%以上、平均投与サイクルは6.6サイクル、初期治療の最良効果は、CR+NEDが85%、PR+SDが12%だった。2群間で患者背景に差は認められなかった。

 追跡の結果、主要評価項目であるPFSは、プラセボ群12.3カ月だったのに対し、パゾパニブ群17.9カ月で、ハザード比0.766(95%信頼区間:0.643-0.911、p=0.0021)と有意にパゾパニブ群で良好だった。

 サブグループ解析では、年齢65歳未満、ECOG PSが0、漿液性癌において、パゾパニブ群が有意に良好だった。

 今回が最初のOSに関する中間解析となるが、観察期間中央値24.3カ月で、ハザード比は0.994、各群ともイベント発生の中央値には到達していなかった。

 グレード3/4の有害事象は、高血圧がパゾパニブ群31%とプラセボ群6%に比べて多かった。また、肝毒性がパゾパニブ群9%、プラセボ群1%未満、好中球減少がパゾパニブ群10%に対し、プラセボ群2%、下痢がパゾパニブ群8%に対し、プラセボ群が1%と、パゾパニブ群で多かった。

 パゾパニブ群の平均1日投与量は585.6mg、投与量中央値は607.4mg、減量を必要としたのは58%だった。治療開始初期に減量を必要とした患者が多かった。

 これらの結果から、Bios氏は、パゾパニブによる維持療法は無再発期間、PFSを延長し、2次治療開始までの期間を延長すること、パゾパニブ群では特有の有害事象を示し、治療開始早期の中断や減量につながっていたため、今後は治療中のケアが重要であることを指摘した。