局所進行/転移性乳癌を対象に、エリブリンとカペシタビンの有効性を比較検討したフェーズ3試験のサブグループ解析の結果、HER2陰性例やER陰性例、トリプルネガティブ乳癌などで、エリブリン群はカペシタビン群に比較して全生存期間(OS)が延長する傾向が認められることが示された。5月31日から米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2013)で、米国Norris Cotton Cancer Center のPeter Andrew Kaufman 氏が発表した。

 エリブリンは非タキサン系微小管阻害剤で、同薬の初めてのフェーズ3試験であるEMBRACE試験では、多くの治療を受けていた局所進行/転移性乳癌を対象に、エリブリン群と医師の選択する治療法を行う群(対照群)に分けて検討した結果、エリブリン群が対照群に比べて有意にOSが良好であるという結果が得られている。

 今回発表した試験の対象は、局所進行/転移性乳癌で、過去に進行癌に対する治療として2レジメンまでを受けていた患者で、前治療はアントラサイクリン、タキサンを含む治療だった。登録患者は1102例で、エリブリン投与群(554例)と、カペシタビン投与群(548例)に1対1で割り付けた。

 治療は21日を1サイクルとして実施し、エリブリン投与群は、1日目と8日目にエリブリン1.4mg/m2を静脈内投与した。もう一方のカペシタビン投与群は、カペシタビン1.25g/m2を1日2回、1日目から14日目まで毎日経口投与した。

 患者全体の全生存期間(OS)は、エリブリン群15.9カ月、カペシタビン群14.5カ月(ハザード比0.88 、95%信頼区間:0.77-1.00、p=0.056)。無増悪生存期間(PFS)は、エリブリン群4.1カ月、カペシタビン群4.2カ月(ハザード比1.08、同:0.93-1.25、p=0.30)で、主要評価項目であるOSについてエリブリン群で良好な傾向はあったが、統計学的に有意な差は認められていなかった。

 今回発表された結果は、当初から予定されていた探索的サブグループ解析であり、年齢、HER2/ホルモン受容体の発現状態、過去の化学療法レジメンの回数/投与方法、転移部位、転移臓器数、前治療から病勢進行までの期間を指標としてOSおよびPFSの検討を行った。

 まずHER2、ER、トリプルネガティブ乳癌の状態別にOSを検討した結果、HER2陽性例では2群間に差はなかったが、HER2陰性例におけるOS中央値は、エリブリン群、カペシタビン群それぞれ15.9カ月、13.5カ月で、ハザード比0.84(95%信頼区間:0.72-0.98)と有意差が認められた。また、ER陽性例では2群間に差はなかったが、ER陰性例のOS中央値はそれぞれ14.4カ月、10.5カ月で、ハザード比0.78(同:0.64-0.96)と有意差が認められた。トリプルネガティブ乳癌では、それぞれ14.4カ月、9.4カ月(ハザード比0.70、同:0.55-0.91)とエリブリン群がカペシタビン群を上回っていた。

 人種や年齢別に検討した結果は、OSについて2群間で有意差は認められなかった。なお、居住地域が南米のグループで、エリブリン群が良好な結果だった。

 前治療数別にOSを検討した結果、前治療が0レジメン、1レジメン、2レジメンのいずれの場合でもエリブリン群はカペシタビン群に比べて良好な傾向が認められたが、統計学的には有意な差ではなかった。転移部位が内臓系だったグループではOSについて2群間で差はなかったが、リンパ節など内臓系以外では、エリブリン群27.8カ月、カペシタビン群18.3カ月、ハザード比0.51(95%信頼区間:0.33-0.80)と有意な差が認められた。また、転移臓器数が2以下の場合は2群間で差はなかったが、2超の場合、エリブリン群14.8カ月、カペシタビン群11.5カ月、ハザード比0.75(同:0.62-0.90)と有意差が認められた。また転移に対するアントラサイクリン、タキサン治療を行ったグループで、エリブリン群16.1カ月、カペシタビン群14.5カ月、ハザード比0.84(同:0.72-0.98)と有意差が認められた。

 無増悪生存期間(PFS)については、エリブリン群とカペシタビン群の間で差は認められなかった。

 これらの結果からKaufman氏らは、「患者全体における結果と同じく、進行に対する治療としてエリブリン投与を受けた患者では、さまざまなサブグループにおいてカペシタビンに比べて統計学的に有意ではないもののOSが良好な傾向が見られた。また、HER2陰性、ER陰性、トリプルネガティブ乳癌の症例ではエリブリン群はカペシタビン群に比べてOSが良好だった。今後、さらに仮説を証明するための試験が必要だ」と結論づけた。