進行性の去勢抵抗性前立腺癌における血中循環腫瘍細胞(CTC)数は、転移の状態やPSA値、骨マーカーなどとは独立した予後予測因子である可能性が示唆された。5月31日から米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、米国Duke Cancer InstituteのRhonda Bitting氏が発表した。

 去勢抵抗性前立腺癌患者において、血中循環腫瘍細胞(CTC)が血液7.5mLあたり5個以上存在すると予後不良であると報告されている。しかし、転移が認められる患者であってもCTC数が少ない症例も多く、CTCの状態に多様性があると考えられる。

 そこでBitting氏らは、自施設を受診した去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に、CTC数と臨床的背景、予後との相関に関する検討を行った。

 対象は進行性の去勢抵抗性前立腺癌患者で、CTCの評価は、EpCAM(上皮細胞接着分子)の抗体を用いたCellSearchシステムを利用した。

 そして、登録時のCTC数とPSA値、アルカリホスファターゼ(AP)値、乳酸脱水素酵素(LDH)値、ヘモグロビン(Hb)値との相関を検討した。

 検討対象となった89例の患者背景は、年齢中央値69歳、白人が75%、黒人が25%。Gleasonスコア中央値は8(範囲5-10)で、血液7.5mLあたりのCTC数は、中央値が16(範囲0-1014)、CTCが5個未満だったのは34%、CTCが1個未満だったのが11%だった。

 PSA中央値は177.8ng/mL(範囲6.8-1342)、LDH中央値は232.5 U/L(範囲147-1745)、AP中央値は132 U/L(範囲36-1308)、Hb中央値は11.2g/dL(範囲7.3-14.9)だった。

 転移部位は、骨転移が認められたのが92%、骨転移もしくはリンパ節転移が認められたのが66%、他の臓器転移が認められたのが31%、リンパ節転移のみが認められたのが2%だった。前治療の内容は、全例がアンドロゲン除去療法もしくは去勢を受けており、ビカルタミド/niltamide/フルタミドが89%、ケトコナゾールが33%、abiraterone/enzalutamide/TAK700が21%、Sipuleucel-Tが16%、ドセタキセルが70%、Cabazitaxelが7%だった。

 解析の結果、CTC数とPSA値の相関係数はr=0.2、CTC数とAP値の相関係数はr=0.48(p<0.001)、CTC数とLDH値の相関係数はr=0.5(p<0.001)、CTC数とHb値との相関係数はr=−0.14で、AP値、LDH値と統計学的には有意な相関が認められた。一方、CTC値とGleasonスコア、転移部位、ドセタキセル治療歴の間には相関は認められなかった。

 全生存期間(OS)中央値は11.2カ月(95%信頼区間:9.4-13.2)で、登録時CTC数が5個以上のグループのOS中央値が8.9カ月だったのに対し、5個未満のグループのOS中央値は16.6カ月で、ハザード比0.47(同:0.27-0.80)と有意にCTC数が少ない患者でOSが良好だった。

 臓器転移が認められた28例においては、CTC数が5個以上(21例)のOS中央値が5.6カ月だったのに対し、CTC数が5個未満(7例)では23.7カ月。骨転移が認められた58例においては、CTC数が5個以上(37例)のOS中央値が11.0カ月だったのに対し、5個未満(21例)は16.6カ月だった。

 多変量解析の結果から、臓器転移がないこと(オッズ比2.8)、低LDH値(オッズ比2.3)、低AP値(オッズ比3.5)がCTC数5個未満を予測する因子として見出された。

 これらの結果からBitting氏らは、「CTC数は、転移部位、PSA値、骨関連マーカー、腫瘍グレードとは独立した予後予測マーカーである可能性がある。また、臓器転移や骨転移例においてはCTC数で予後の層別化ができる可能性がある。今回の検討では、CTC数が低いにもかかわらず予後が不良な患者の臨床像を見出すことはできなかったが、進行性の去勢抵抗性前立腺癌患者でCTC数が少ない患者が多くいることが明らかになった」とまとめた。また、CTC数は転移の状態や骨微小環境、低酸素、腫瘍サイズに反映される可能性があるため、前向きに検討されるべきだと指摘した。