転移性大腸癌に対する第1選択は、殺細胞性の化学療法薬の2剤併用+ベバシズマブとなっている。GONO(Gruppo Oncologico Nord Ovest)グループでイタリアPisa大学に在籍するAlfredo Falcone氏らは、殺細胞性化学療法薬の3剤併用にベバシズマブを加えると、無増悪生存期間、奏効率が有意に向上することを明らかにした。フェーズ3 TRIBE試験の結果は、ASCO2013で6月1日に報告された。

 殺細胞性化学療法薬を3剤併用するFOLFOXIRIは、2剤併用レジメンのFOLFIRIに比べ、奏効率、無増悪生存期間、全生存期間に対する利益が有意に大きいこと、FOLFOXIRIにベバシズマブを追加すると、無増悪生存期間、奏効率が改善することが示されていた。

 この試験の目的は、切除不能転移性大腸癌を対象に、いずれもベバシズマブを追加した場合のFOLFIRIに対するFOLFOXIRIの優越性を示すことにあった。

 組み入れ条件は、RECIST基準において測定可能だが切除不能の病変を有する18-75歳の患者で、全身状態の指標であるECOG PSスコアが2以下(71-75歳についてはスコア0)、転移に対する化学療法歴は無い人々となっていた。オキサリプラチンを含む術後化学療法を受けた患者については、治療終了から再発までが12カ月超だった症例を組み入れ可能とした。

 2008年7月から2011年5月までに508人を登録し、無作為にFOLFIRI+ベバシズマブ(A群、256人、年齢の中央値は61歳)またはFOLFOXIRI+ベバシズマブ(B群、252人、60歳)に割り付けて、最長12サイクルの治療を行い、続けて5-FU+ロイコボリンとベバシズマブを進行が見られるまで投与した。

 主要転帰評価指標は無増悪生存期間に設定。追跡期間の中央値32.3カ月の時点のデータをintention-to-treat分析した。

 この時点で、A群256人中226人と、B群262人中213人が進行を経験。死亡は計286人でA群が155人、B群は131人だった。

 B群の無増悪生存期間はA群に比べ有意に長かった(12.1カ月と9.7カ月、非層別化ハザード比は0.77、0.64-0.93、p=0.006、層別化ハザード比は0.75、95%信頼区間:0.62-0.90、p=0.003)。サブグループ解析でもB群の利益は一貫して認められた。例外は、術後補助療法歴に基づいて患者を層別化した場合で、術後補助療法歴無し患者では、ハザード比は0.7でFOLFOXIRIの利益が有意に大きかったが、補助療法有り患者においてはハザード比は1.3となり、FOLFIRIのほうが利益は大きい傾向が見られた(交互作用のp=0.039)

 今回登録された患者のKRAS変異の有無を調べたところ、野生型と変異型が同程度存在していた。一方、BRAF遺伝子については野生型がほぼ9割を占めていた。無増悪生存期間は、これらの遺伝子が野生型でも変異型でも、FOLFOXIRI+ベバシズマブの方が長い傾向が見られた。

 全生存期間についてはこの時点で確定的な結果は得られず、死亡リスクの有意な低下を示せる可能性はあまり高くなかったが、分析時点の全生存期間の中央値はA群が25.8カ月、B群は31.0カ月で、非層別化ハザード比は0.83(95%信頼区間:0.66-1.05、p=0.125)、層別化ハザード比は0.79(同:0.63-1.00、p=0.054)となり、B群の方が長い傾向が見られた。

 RECIST基準に基づく奏効率もB群のほうが有意に高かった(65%と53%、p=0.006)

 FOLFOXIRI+ベバシズマブは、転移病巣の2次的切除が完全に行えた患者を増やしていなかった。intention-to-treat集団で完全切除ができた患者はB群が15%、A群が12%(p=0.327)、肝転移のみの集団でも32%と28%(p=0.823)だった。

 重症の有害事象はA群の19.7%、B群では20.4%に、治療関連死亡はそれぞれ1.6%と2.4%に発生。グレード3/4の有害事象の中で、下痢、口内炎、好中球減少症と神経毒性はB群に有意に多く見られた。一方で、グレード3/4の発熱性好中球減少症などには有意な増加は見られず、安全性のプロファイルは許容できるものだった。

 得られた結果は、今回対象となった患者集団に対する標準治療の選択肢にFOLFOXIRI+ベバシズマブを追加できることを示した。また、最初に強力な治療を数カ月行い、維持療法を継続すると、腫瘍はより大きく縮小し、完全切除の可否にかかわらず、その後の無増悪生存期間を延長、さらには全生存期間も延長する可能性があることを示唆した。