大腸癌が肝臓に転移した場合に、治癒的切除が可能であれば5年生存率は40%、10年生存率は30%程度になる。さらに術前と術後に化学療法を行えば、無増悪生存期間が延びることが示されていた。そこにセツキシマブを追加するとさらに生存利益が拡大するのではないかと考えて行われた新EPOCスタディは予想外の結果となり、早期中止された。英Southernpton総合病院のJohn Primrose氏らは、新EPOCのデータをASCO2013で6月1日に発表した。

 Lancet誌に2008年に報告されたEPOCスタディは、切除可能な肝転移を有する大腸癌患者を登録、手術のみ、または、術前と術後の化学療法(FOLFOX4:フルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン)+手術に割り付けて3年間追跡したもの。無増悪生存率は化学療法あり群で8%高かった。

 抗EGFR抗体のセツキシマブのような生物学的製剤を化学療法に追加すると、大腸癌の転帰がさらに向上する可能性があると考えた著者らは、新EPOCスタディを実施した。

 2007年2月から2012年11月まで、272人の患者を登録、無作為割り付けした。組み入れ条件は、K-RAS野生型で、切除可能、または切除可能と不可能の境界と見なされる肝転移を有し、化学療法と手術に十分耐えうる患者となっていた。

 登録患者を化学療法のみ(134人、年齢中央値65.0歳、男性63.4%)、または化学療法+セツキシマブ(137人、64.0歳、男性69.3%)に割り付けて、手術前12週間と手術後12週間投与した。化学療法は、FOLFOX4、CAPOX(カペシタビン+オキサリプラチン。2010年7月にこのレジメンの適用を中止。セツキシマブと併用で有害事象が増加することがCOINスタディによって示されたため)、FOLFIRI(5-フルオロウラシル+ロイコボリン+イリノテカン。当初はオキサリプラチン使用歴がある患者に適用されていたが、その後全員に適用可能とした)のいずれかを用いるとした。

 主要転帰評価指標は無増悪生存期間に設定されていた。

 独立データモニタリング委員会などによる2012年11月19日の勧告に従って、この試験は、272人を登録した時点で中止された。あらかじめ予定されていた無益性分析の結果に基づく勧告だった。

 今回は、試験設計の段階で予定されていたイベント発生件数(212件)のうち、123件が発生した時点の分析結果が報告された。分析対象になったのは、化学療法のみ群の116人とセツキシマブ併用群117人だった。

 無増悪生存期間はセツキシマブ群で有意に短かった。Intention-to-treat分析では、化学療法のみ群が20.5カ月、セツキシマブ併用群は14.1カ月で、ハザード比は1.49(95%信頼区間:1.04-2.12、p=0.030)となった。

 全生存期間も同じ傾向を示した。化学療法のみ群は分析時点でnot reached、セツキシマブ併用群は39.1カ月で、ハザード比は1.48(95%信頼区間:0.85-2.58、p=0.163)だった。

 サブグループ解析も行ったが、セツキシマブ併用の利益が見られた患者群はなかった。セツキシマブの好ましくない影響は、一般に転帰良好を示唆する特徴を有する、たとえば、高分化型の腫瘍を持つ患者や転移病巣の数が少ない患者などで有意だった。

 術前治療により、完全奏効または部分奏効となった患者(化学療法のみ群70人、セツキシマブ併用群78人)のみを対象に無増悪生存期間を比較したところ、それぞれ25.9カ月と15.9カ月になり、セツキシマブ追加の利益はやはり見られなかった。

 有害事象の発生率に有意差は無かった。化学療法関連死亡は、化学療法のみ群に1人、セツキシマブ併用群に3人見られた。