乳癌患者に対するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害剤であるPD0332991の投与は、良好な忍容性を示し、前治療として実施したホルモン療法や化学療法の治療ライン数により抗腫瘍効果が異なる傾向が認められた。米国Abramson Cancer Center of the University of PennsylvaniaのAngela DeMichele氏らが、5月31日から米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で発表した。

 多くの乳癌細胞で、細胞周期のうち、G1期/S期のチェックポイントの調節異常が認められる。PD0332991は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4および6を選択的に阻害することで細胞周期のG1期からS期への移行を阻害する経口薬。

 これまでに実施されたフェーズ1試験から、125mg/日で3週投与、1週休薬のスケジュールが推奨された。また、乳癌細胞株を用いた前臨床試験では、ER陽性細胞に対し最も高い活性が示されている。また、無作為化フェーズ2試験の結果から、レトロゾールにPD0332991を上乗せすることで、レトロゾール単剤投与に比べ、有意に無増悪生存(PFS)を延長したことが報告されている(ハザード比0.32、95%信頼区間:0.19-0.56)。

 今回報告したのは、乳癌、精巣癌、結腸癌、胃癌を対象にPD0332991を投与するフェーズ2試験の一部で、乳癌として登録された15例で2例の部分奏効例が認められたため、35例まで追加登録を進めた結果。最終的に、乳癌の対象者は、組織型が確定した、ECOG PSが0-1、ステージIVの患者37人となった。原発巣または転移巣の腫瘍について免疫染色で網膜芽細胞腫蛋白 (Rb)の発現が確認できるほか、RECISTによる評価が可能な患者とした。

 主要評価項目は、安全性と奏効率とPFS。副次評価項目として、薬物動態のほか、ホルモン受容体(HR)の発現状態別の治療反応性、治療効果予測マーカーを検討した。

 PD0332991は、28日を1サイクルとし、1〜21日目に1日1回125mgを投与した。抗腫瘍効果については8週間おきに、毒性評価については8、15、21日目で行い、その後は1日目、15日目とした。

 37人の患者が登録され、1サイクル以上完遂した患者37人について評価した。うち、6人は現在投与を継続している。

 患者の年齢中央値は、59歳(範囲:39-88歳)。HR+/HER2−が29人(78%)、HR+/HER2+が2人(5%)、HR−/HER2−が6人(16%)だった。前治療の実施状況では、進行例に対するホルモン療法施行は84%、術後ホルモン療法は57%で、進行例に対するホルモン療法の治療ライン数(中央値)は2(範囲0-5)だった。進行例に対する化学療法施行は92%、術後化学療法は65%で、進行例に対する化学療法の治療ライン数(中央値)は3(範囲1-14)だった。

 投与中止理由は、病勢進行が96%(30人)で、患者の意向が1人だった。

 投与を中断した患者は24%、投与量を減量した患者は43%を占めた。毒性による治療中止例はなかった。用量調整を行った理由を見ると、好中球減少症(グレード3)が最も多く38%、次いでグレード3の血小板減少症(8%)、グレード2の血小板減少症(3%)、グレード4の血小板減少症(3%)だった。

 重篤な有害事象については、グレード4の好中球減少症(2人)、グレード4の血小板減少症(1人)、グレード3の好中球減少症(22人)、グレード3の白血球減少症(15人)、グレード3のリンパ球減少症(9人)、グレード3の血小板減少症(7人)などだった。

 奏効率は、部分奏効(PR)が2人(6%)、6カ月未満の病勢安定(SD)が14人(39%)、6カ月以上のSDが4人(11%)で、奏効率(PRもしくは6カ月以上のSD)は17%だった。

 HR陽性例(30例)の奏効率は、PRが2人、6カ月未満SDが14人(47%)、6カ月以上SDが3人(10%)だった。HR−/HER2−例(6例)の奏効率は、PRが0%、6カ月未満SDが0%、6カ月以上SDが1人(17%)だった。

 全患者のPFS中央値は3.2カ月(95%信頼区間:2.0-5.9)となった。また、HR陽性患者(31人)のPFS中央値は3.8カ月(同:2.0-7.1)だったのに対し、HR陰性患者は1.9カ月(同:1.8-未達)で、ホルモン受容体陽性患者はホルモン陰性患者と比べ、PFS中央値が長かった。

 さらに、前治療としてのホルモン療法の実施ライン数別に最良総合効果を検討したところ、2ライン以上実施している患者(22人)の方が、ホルモン療法を実施していないもしくは1ライン実施した患者(8人)よりも腫瘍縮小効果が良好だった。0-1ライン実施した患者では、PRが0%、6カ月未満SDが50%、6カ月以上SDが0%だったのに対し、2ライン以上の患者はPRが9%、6カ月未満SDが45%、6カ月以上SDが14%だった。

 同様に、前治療としての化学療法の実施ライン数別に最良総合効果を検討したところ、ライン数が少ない方が腫瘍宿縮小効果が良好だった。化学療法を実施しなかった患者(3人)においては、PRが67%、6カ月未満SDが0%、6カ月以上SDが33%だったのに対し、1ラインの患者ではPRが0%、6カ月未満SDが33%、6カ月以上SDが17%、2ライン以上の患者ではPRが0%、6カ月未満SDが44%、6カ月以上SDが7%だった。

 これらの結果からDeMichele氏は、乳癌患者に対するPD0332991の単独投与は良好な忍容性が示されるとともに、ER陽性/HER2陽性例で良好な奏効が認められる一方、化学療法施行数が多い患者ほど奏効率が低下する傾向にあったとまとめた。Ki-67やCCND1遺伝子の増幅、p16の欠失との関係については、現在解析中だ。