局所進行・転移性乳癌患者に対するエリブリンカペシタビンを比較したオープンラベルの比較対照フェーズ3試験(301試験)において、エリブリンを投与した患者はカペシタビンを投与した場合と比べてGHS/QoLスコアが向上し、生活の質(QOL)が改善されることが明らかとなった。同試験の副次評価項目である患者QOLの解析から判明したもの。5月31日から6月4日まで米シカゴで開催されている第49回米臨床腫瘍学会(ASCO)で、スペインVall D'Hebron University HospitalのJavier Cortes氏が発表した。

 301試験においては、主要評価項目である全生存率(OS)に関して、エリブリン群15.9カ月に対しカペシタビン群14.5カ月でエリブリン群で延長傾向を示したものの、有意差は得られず(ハザード比0.88、95%信頼区間:0.77-1.00、p=0.056)、無増悪生存期間(PFS)に関してもエリブリン群4.1カ月、カペシタビン群4.2カ月と有意差は示されなかった(ハザード比1.08、95%信頼区間:0.93-1.25、p=0.30)。

 乳癌治療において重要な視点の1つとして、QOLの維持を重視した治療の選択が挙げられるが、今回は、事前に計画された副次評価項目であるQOLを両群間で比較し評価した。

 試験は、アントラサイクリンおよびタキサン系製剤による前治療歴を有する局所進行・転移性乳癌患者1102人を対象に、21日を1サイクルとして、エリブリン(1.4mg/m2を1日目と8日目)を投与する群(554人)またはカペシタビン(1250mg/m2を1日2回1-14日まで)を投与する群(548人)に無作為に割り付けQOLの解析を行った。 

 QOLの評価には、癌で広く使用されているQOL尺度であるEORTC QLQ-30(The Eoropean Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire-Core30)と、乳癌患者のQOL尺度であるQLQ-BR23を用い、Global Heatlh Status/QoL(以下GHS)のスコアを採用した(GHSは0-100で評価され、スコアが高いほどQOLが良好であることを示す)。

 アンケート調査はベースライン時、6週後、3、6、12、18、24カ月後に行い、活動領域や兆候、症状などについてベースライン時からの変化で評価した。ベースライン時のGHSスコアは両群共に低く、エリブリン群56.3、カペシタビン群54.7だった。

 調査票の回収率は経時的に減少傾向を示したものの、予測通りの回収率であり、エリブリン群とカペシタビン群での差は見られなかった。

 解析の結果、GHSスコアはエリブリン群で6.52上昇(95%信頼区間:0.045-13.0、p=0.048)したほか、認知機能が15.33の上昇(95%信頼区間: 9.23-21.43、p<0.01)を示すなど、エリブリン群での有意な改善が認められた。一方、カペシタビン群で良好だったのは、精神的活動性(p=0.03)とボディイメージ(p<0.01)、全身的な副作用(p<0.001)、脱毛による動揺(p=0.02)などだった。

 さらに、患者自身による評価の報告からも、兆候や症状に関してエリブリン群で良好で、特に吐き気や嘔吐(p=0.043)、下痢(p=0.001)などの胃腸症状において利点があることが確認された。