局所再発または転移を有する乳癌患者のルーチン治療において、トラスツズマブの再投与は、化学療法やホルモン療法との併用療法または単剤治療として有効であることを示す臨床的なエビデンスが、多施設共同の非介入試験から得られた。5月31日から6月4日まで米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、ドイツUniversitatsklinikum Schleswig-HolsteinのLars Christian Hanker氏が発表した。

 再発または転移を有する乳癌の治療選択肢として、トラスツズマブを用いた抗HER2抗体製剤の再投与が行われる機会が増したが、再投与に関する臨床のデータは限られている。

 Hanker氏らは、術前または術後の補助化学療法で抗HER2抗体製剤の投与をすでに受けた、局所再発または転移を有するHER2陽性乳癌患者を対象として、トラスツズマブの有効性の特徴を明らかにするための解析を行った。

 2008年10月から2012年11月までに、ドイツの121施設から232人が登録された。局所再発33人(19%)、転移141人(81%)の計174人について、トラスツズマブの再投与の有効性についての解析が十分に行われていた。解析のためのデータカットオフ日は2012年11月30日だった。

 トラスツズマブ再投与のレジメンで最も多かったのは化学療法(±ホルモン療法)との併用で、全体の73.6%を占めた。併用療法のレジメンの多くにタキサン系抗癌剤(40.6%)が含まれ、次いでビノレルビン(18.0%)、カペシタビン(15.6%)だった。
 
 174人中、104人(年齢中央値57.7歳)はトラスツズマブと化学療法の併用(T+CT)、26人(同48.8歳)はトラスツズマブとホルモン療法の併用(T+HT)、24人(同52.6歳)はトラスツズマブと化学療法とホルモン療法の併用(T+CT+HT)、20人(同59.7歳)はトラスツズマブ単剤治療(T)を受けた。

 原発腫瘍の切除から局所再発または転移を認めるまでの期間とした無再発生存期間(DFS)中央値は、全例で3.1年(95%信頼区間:0.2-11.2)となり、内臓転移を有する患者では3.0年、内臓転移を有さない患者では3.6年、局所再発の患者では3.0年だった。

 術後補助化学療法として、T+CTをシークエンシャル投与または同時投与で受けた患者のDFS中央値は3.2年となった。

 全対象の追跡期間中央値は21.3カ月だった。トラスツズマブ再投与の開始から進行までとしたPFSの中央値は、全例で10.1カ月(95%信頼区間:8.5-13.1)となり、局所再発のみの患者では23.7カ月、転移を有する患者では8.9カ月だった。内臓転移を有する患者のPFS中央値は8.0カ月、内臓転移を有さない患者では10.1カ月だった。

 ホルモン受容体別にみると、PFS中央値はホルモン受容体陽性の患者で10.9カ月、陰性の患者では9.4カ月だった。ホルモン受容体陽性の患者では、トラスツズマブの単剤治療で8.3カ月、T+CTで9.0カ月、T+HTで13.1カ月、T+CT+HTでは最も長い17.6カ月となった。

 全対象の奏効率は37.4%で、局所再発の患者のみでは45.5%と高い奏効率が得られた。

 Hanker氏は、「今回の検討では、ファーストライン治療でトラスツズマブとタキサン系抗癌剤の併用療法を受けた患者で有用性が観察され、最近発表されたトラスツズマブの再投与を受けた患者のデータと同等と考えられる」としている。