未治療転移性腎細胞癌において、エベロリムス投与後スニチニブを投与する逐次治療は、スニチニブ投与後エベロリムスを投与する逐次治療に対して、無増悪生存期間(PFS)の非劣性を示すことができなかった。5月31日から米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、米国Memorial Sloan-Kettering Cancer CenterのRobert Motzer氏が発表した。

 現在、転移性腎細胞癌に対して、ファーストライン治療としてチロシンキナーゼ阻害薬であるスニチニブを投与した後、病勢進行が認められた場合に、セカンドライン治療としてmTOR阻害薬エベロリムスを用いる逐次治療は、標準治療の1つとされている。

 今回発表されたRECORD-3試験は、未治療転移性腎細胞癌患者を対象に、この標準治療であるスニチニブ投与後にエベロリムスを投与する逐次治療と、ファーストライン治療としてエベロリムスを投与した後にスニチニブを投与する逐次治療の有効性を比較検討したオープンラベルフェーズ2試験だ。

 対象は、淡明細胞癌および非淡明細胞癌を含む転移性腎細胞癌で、全身療法を受けたことがない患者。腎摘除術施行歴の有無は問わず、Karnofsky Performance Status(KPS)≧70%を適格基準とした。これらの患者を、ファーストライン治療としてエベロリムス(10mg/日)を投与したのち、セカンドライン治療としてスニチニブを投与した群(エベロリムス群)と、ファーストライン治療としてスニチニブ(50mg/日、4週投与2週休薬)を投与したのち、セカンドライン治療としてエベロリムスを投与した群(スニチニブ群)にランダムに割り付けた。

 試験は、ファーストライン治療としてのエベロリムス投与がファーストライン治療としてのスニチニブ投与に劣らないかどうかを評価する非劣性試験で、ファーストライン治療のPFSについて、ハザード比の非劣性マージンを1.1と設定して評価した。また、副次評価項目として、ランダム化からセカンドライン治療中の病勢進行もしくは死亡までの合計PFS、ファーストライン治療の客観的奏効率、全生存期間(OS)、安全性などを設定した。

 主要評価項目のPFSは、セカンドライン治療を開始する前の、ランダム化から病勢進行もしくは死亡までの期間と定義した。ファーストライン治療の段階では、効果は12週毎に評価し、安全性は登録時と各サイクルの28日目で評価した。クロスオーバー期間は最短で2週間、最長でも6週間とした。セカンドライン治療段階では、効果は12週毎に評価するとともに、安全性は登録時と各サイクルの28日目で評価した。

 2009年10月から2011年6月までに471例が登録され、エベロリムス群238例、スニチニブ群233例だった。

 ファーストライン治療を受ける際の患者背景については、年齢中央値は両群ともに62歳、男性比率はエベロリムス群70%、スニチニブ群76%。KPS 90以上だったのはエベロリムス群66%、スニチニブ群78%、KPS 80だったのはエベロリムス群26%、スニチニブ群19%、KPS 70だったのはエベロリムス群8%、スニチニブ群3%だった。淡明細胞癌はエベロリムス群86%、スニチニブ群85%で、腎摘除術を受けていたのは両群とも67%であり、両群とも7割弱で2カ所以上の転移が認められた。MSKCCリスク分類でFavorableリスクはエベロリムス群29%、スニチニブ群30%、Intermediateリスクは両群とも56%、Poorリスクはエベロリムス群15%、スニチニブ群14%だった。

 ファーストライン治療を開始した後、治療を中止したのはエベロリムス群201例(85%)、スニチニブ群192例(82%)で、治療中止理由が病勢進行だったのはエベロリムス群57%、スニチニブ群52%だった。セカンドライン治療としてクロスオーバーした薬剤の投与を受けたのはエベロリムス群108例、スニチニブ群99例で、治療を中止したのはエベロリムス群77例(71%)、スニチニブ群75例(76%)、治療中止理由が病勢進行だったのはエベロリムス群50%、スニチニブ群55%だった。

 追跡の結果、ファーストライン治療のPFS(中央値)は、エベロリムス群7.85カ月、スニチニブ群10.71カ月となり、ハザード比1.43(95%信頼区間:1.15-1.77)で、スニチニブ群に対するエベロリムス群の非劣性は証明できなかった。

 MSKCCリスク分類別にファーストライン治療のPFS(中央値)を評価した結果、Favorableリスクにおけるエベロリムス群(85例)のPFSは11.07カ月、スニチニブ群(86例)は13.40カ月で、ハザード比1.20(95%信頼区間:0.83-1.74)。Poorリスクにおけるエベロリムス群(29例)は2.63カ月、スニチニブ群(25例)は2.99カ月で、ハザード比1.73(同:0.96-3.12)と非劣性は示せなかった。

 組織型別にファーストライン治療のPFS(中央値)を評価した結果、淡明細胞癌においては、エベロリムス群8.08カ月、スニチニブ群10.84カ月で、ハザード比1.39(95%信頼区間:1.10-1.75)、非淡明細胞癌ではエベロリムス群5.09カ月、スニチニブ群7.23カ月、ハザード比1.54(同:0.85-2.75)と、こちらも同様に非劣性を示せなかった。

 ファーストライン治療の奏効率は、エベロリムス群では完全奏効(CR)1例(0.4%)、部分奏効(PR)が18例(7.6%)、病勢安定(SD)が137例(57.6%)、スニチニブ群ではCRが3例(1.3%)、PRが59例(25.3%)、SDが121例(51.9)%だった。CRとPRを併せた客観的奏効率はエベロリムス群8.0%、スニチニブ群26.6%となった。

 副次評価項目である合計PFSは、エベロリムス群21.13カ月、スニチニブ群25.79カ月で、ハザード比1.28(95%信頼区間:0.94-1.73)だった。

 OS中央値は、エベロリムス群22.41カ月、スニチニブ群32.03カ月となり、ハザード比1.24(95%信頼区間:0.94-1.64)だった。

 ファーストライン治療を受けた患者の治療期間(中央値)は、エベロリムス群5.6カ月に対し、スニチニブ群8.3カ月、相対用量強度はエベロリムス群94%に対し、スニチニブ群85%、減量を要したのはエベロリムス群30%に対し、スニチニブ群51%だった。セカンドライン治療を受けた患者(エベロリムス群108例、スニチニブ群99例)では減量を要したのはエベロリムス群37%、スニチニブ群19%だった。

 ファーストライン治療期間中の治療関連有害事象は、口内炎が両群とも5割強と最も多く、疲労(エベロリムス群45%、スニチニブ群51%)、下痢(同38%、57%)、咳(38%、23%)、発疹(37%、23%)、悪心(34%、49%)、食欲不振(29%、34%)、貧血(28%、21%)、浮腫(28%、21%)、呼吸困難(25%、18%)、味覚障害(21%、31%)、嘔吐(21%、30%)、便秘(19%、25%)、高血圧(10%、36%)、手足症候群(6%、40%)、血小板減少(4%、26%)だった。エベロリムス群において、非感染性肺炎は7%に発生し、そのうちグレード3は1%、グレード4は1%未満だった。

 セカンドライン治療期間中の治療関連有害事象は、疲労(スニチニブ群32%、エベロリムス群37%)、貧血(同26%、10%)、口内炎(25%、28%)、食欲不振(23%、29%)、呼吸困難(21%、14%)、咳(21%、11%)、悪心(15%、37%)、下痢(13%、46%)、味覚障害(7%、23%)、高血圧(3%、27%)、手足症候群(2%、27%)、嘔吐(9%、25%)、血小板減少(2%、23%)だった。スニチニブ群において非感染性肺炎は5%に発生し、グレード3/4は0%だった。

 これらの結果からMotzer氏は、ファーストライン治療としてのスニチニブ投与群に対するエベロリムス投与群の非劣性は示せず、スニチニブ投与後にエベロリムスを投与した場合の方がOSが良好な傾向であったとした。そして、この結果から、ファーストライン治療としてスニチニブを投与し、病勢進行した場合はエベロリムスを投与するという現在の標準治療は変わらないと締めくくった。