乳癌の組織型の1つである浸潤性小葉癌では、レトロゾール(LET)による術後補助療法は、単独投与でも逐次投与でも、タモキシフェン(TAM)単独投与に比べ、無病生存期間(DFS)や全生存期間(OS)が良好であることが、BIG 1-98試験の解析で明らかになった。一方、浸潤性乳管癌では、レジメンによる違いは明確でなかった。5月31日から米国シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会の年次集会(ASCO 2013)で、米Dana-Farber Cancer InstituteのOtto Metzger Filho氏らが発表した。

 BIG 1-98試験は、閉経後ホルモン陽性早期乳癌患者に対する5年間の術後ホルモン療法の無作為化フェーズ3臨床試験。レトロゾール(LET)またはタモキシフェン(TAM)の5年間の単独投与、およびLETとTAMの逐次投与(LET2年間投与→TAM3年間投与とTAM2年間投与→LET3年間投与)を比較した。

 LET単独投与による術後補助療法は、TAM単独投与に比べて、浸潤性小葉癌で、より有用性が高いことが報告されている。今回の解析では、フォローアップ期間中央値8.1年において、各組織型(小葉癌、乳管癌)、およびluminal A(HR陽性、HER2陰性、Ki-67 14%未満)とluminal B(HR陽性、HER2陰性、Ki-67 14%以上)に分けて、LET単独投与群とTAM→LET群、LET→TAM群の有用性をTAM単独投与群と比較した。

 解析対象は、組織型が分類でき、HR陽性、HER2陰性の患者で、浸潤性小葉癌が502人、浸潤性乳管癌は3788人だった。小葉癌ではluminal Aが75.7%、乳管癌では54.6%を占めた。

 この結果、DFSは、乳管癌では4群間に差は見られなかったが、小葉癌ではTAM単独投与群に比べてLETを含む群は優れていた。小葉癌におけるハザード比は以下のとおり。

 小葉癌でLET単独投与群のTAM 単独投与群に対するハザード比は0.492(95%信頼区間:0.30-0.82)、TAM→LET群に対しては0.709(同:0.40-1.25)、LET→TAM群に対しては0.655(同:0.38-1.12)となった。TAM単独投与群に対するLET→TAM群のハザード比は0.751(同:0.48-1.18)、TAM→LET群では0.693(同:0.43-1.12)だった。

 無遠隔転移期間(DRFI)も同様に、乳管癌では治療群間に大きな違いはなかったが、小葉癌ではTAM単独投与群に比べてLETを含む群は優れていた。小葉癌で、LET単独投与群のTAM 単独投与群に対するハザード比は0.390(95%信頼区間:0.18-0.84)、TAM→LET群に対しては0.426(同:0.19-0.95)、LET→TAM群に対しては0.600(同:0.26-1.37)となった。TAM単独投与群に対するLET→TAM群のハザード比は0.649(同:0.34-1.25)、TAM→LET群では0.915(同:0.50-1.69)だった。

 OSも同様の傾向であり、小葉癌において、LET単独投与群のTAM 単独投与群に対するハザード比は0.389(95%信頼区間:0.20-0.76)、TAM→LET群に対しては0.606(同:0.29-1.27)、LET→TAM群に対しては0.817(同:0.38-1.75)となった。TAM単独投与群に対するLET→TAM群のハザード比は0.476(同:0.26-0.88)、TAM→LET群では0.641(同:0.36-1.15)だった。

 以上のことから、浸潤性小葉癌ではDFS、DRFI、OSにおいて、TAM単独投与群に比べてLET単独投与群は有意に有効性が高いことが示された。またTAM→LET群とLET→TAM群はTAM単独投与群に比べ有効性が高い傾向があった。さらに小葉癌ではluminal Aでもluminal Bでも、LETを含むレジメンは良好な結果を示した。

 一方、浸潤性乳管癌では、LET単独投与と比べ、逐次投与の有効性は示されなかった。なおTAM単独投与群とLETを含むレジメンとの比較に関しては、TAM単独投与群の40%の患者がクロスオーバーしてLET治療を受けていたことを考慮する必要があるとしている。また乳管癌ではluminal Bの患者でLETを含むレジメンは良好な結果を示したが、luminal Aでは見られなかった。

 これらの結果から、「臨床的に、浸潤性小葉癌と診断された患者に対する初回治療としてはレトロゾールを考慮し、逐次投与は再発や忍容性の面から妥当な選択肢といえる」とした。