転移を有するHER2陽性乳癌のファーストライン、セカンドライン治療としてのラパチニブビノレルビン併用療法は、大規模試験で報告されたラパチニブ+カペシタビン併用療法と同等の全生存期間(OS)中央値を示し、有効な治療選択肢となる可能性がフェーズ2試験から示された。5月31日から6月4日まで米国シカゴで開催されている第49回米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)で、ギリシャUniversity of Athens School of MedicineのChristos Papadimitriou氏が発表した。

 Papadimitriou氏らは、非盲検、多施設共同、フェーズ2のランダム化試験において、ラパチニブ+ビノレルビン(L+V)、またはラパチニブ+カペシタビン(L+C)の併用療法の有効性と安全性を評価した。

 対象は、転移を有するHER2陽性乳癌で、転移に対し1レジメン以下の化学療法を受けた患者。3週を1サイクルとして、ラパチニブ1250mgを1日1回連日投与し、ビノレルビン20mg/m2を1、8日目に投与するL+V群と、ラパチニブとカペシタビン2000mg/m2を1日2回、1-14日に投与するL+C群に、患者を2対1に割り付けた。割り付けられた治療で進行を認めた場合は、もう一方の治療へのクロスオーバーを可とした。

 主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目はOS、奏効率、安全性だった。

 同試験では、ITT解析対象のPFSはいずれも6.2カ月で、忍容性も同等だったことが、昨年12月に報告されている(W. Janni, et al. SABCS 2012)。今回はOSとクロスオーバーの解析結果が報告された。

 今回の解析のデータカットオフ日は2012年8月21日で、112人がランダム化に進み、L+V群75人(年齢中央値57歳)、L+C群37人(同58歳)となった。両群の患者背景はバランスがとれていたが、初回診断からの期間の中央値はL+V群36.6カ月、L+C群24.3カ月と差がみられた。

 OS中央値は、L+V群は24.3カ月(95%信頼区間:16.4-N.E.)、L+C群は19.4カ月(95%信頼区間:16.4-27.2)となった。

 解析時に42人で進行を認め、L+V群の29人がL+Cへ、L+C群の13人がL+Vへ、それぞれクロスオーバーした。

 クロスオーバー後のPFS中央値は、L+Vにクロスオーバーした患者で3.2カ月(95%信頼区間:1.7-5.1)、L+Cにクロスオーバーした患者で4.0カ月(95%信頼区間:2.1-5.8)となった。

 クロスオーバー後に発現した有害事象は各薬剤で既知のものであり、新たな事象は認めなかった。グレード3以上の好中球減少はL+Vで16%に発現したが、L+Cでは発現しなかった。重篤な有害事象(SAE)は、L+Vでは23%、L+Cでは10%で、最も多かった発熱性好中球減少はそれぞれ15%と0だった。SAEのため試験治療を中止したのはL+Cの1人で、肝外傷による中止だった。

 Papadimitriou氏は「ラパチニブの治療で進行した後にラパチニブを再投与した患者の探索的な解析から、抗HER2抗体を投与後に進行を認めたHER2陽性患者について、HER2の抑制を維持する生物学的な根拠を支持する結果が示された」と話した。