BRAF V600E変異の進行メラノーマ患者へのMEK阻害剤trametinib投与は、ダカルバジンまたはパクリタキセル投与と比べ、無増悪生存期間(PFS)中央値を1.4カ月から4.8カ月に有意に延長することが示された。フェーズ3試験、METRICの結果について、フランスInstitut Gustave RoussyのCaroline Robert氏が、6月1日から米国シカゴで開催された第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表した。

 trametinib(GSK1120212)は、MEK1/MEK2を選択的にアロステリック阻害することで、細胞増殖を阻害する薬剤。BRAF V600E変異の転移性メラノーマを対象にしたフェーズ2試験の結果では、奏効率が25%で、PFS中央値は4.0カ月というデータが示されていた。

 今回のフェーズ3試験の対象は、2010年12月から2011年7月に1059人をスクリーニングし、BRAF V600E/K変異陽性だった進行または転移性メラノーマ患者322人。これらの患者をtrametinib群(2mgを1日1回投与、214人)と化学療法群(ダカルバジンまたはパクリタキセル、108人)に2対1に割り付けた。化学療法群で増悪が認められた場合は、trametinibを投与し、クロスオーバーを認めた。

 主要評価項目はPFS、副次評価項目はITT解析におけるPFS、全生存期間(OS)、奏効率と安全性とした。

 患者背景では、年齢が54〜54.5歳。ECOG PS 0は64%。LDHが正常上限値を超えている患者の割合はtrametinib群で36%、化学療法群で39%、ステージIV M1cの割合はそれぞれ67%、58%。前治療歴については、免疫療法がtrametinib群で32%、化学療法群で28%、化学療法がそれぞれ33%、35%だった。

 BRAF変異部位では、V600E変異はtrametinib群で86%、化学療法群で90%。V600K変異はtrametinib群で14%、化学療法群で10%。V600E/K変異はtrametinib群で1%未満、化学療法群はいなかった。

 試験の結果、主要評価項目のPFS中央値は、trametinib群で4.8カ月、化学療法群で1.4カ月となり、trametinib群において有意に延長した(ハザード比:0.44、95%信頼区間:0.31-0.64、p<0.0001)。

 また、治験責任者によるITT解析においてもPFS中央値で同様の傾向が確認され、trametinib群で4.8カ月、化学療法群で1.5カ月となり、trametinib群における有意な延長が確認された(ハザード比0.45、95%信頼区間:0.33-0.63、p<0.0001)。

 客観奏効率は、trametinib群が22%、化学療法群が8%だった。

 OSについては、両群とも中央値に達していない。6カ月OS率は、trametinib群で81%、化学療法群で67%となり、trametinib群において有意に高かった(ハザード比0.54、95%信頼区間:0.32-0.92、p=0.0136)。なお、化学療法群の47%がtrametinibへ切り替えられた。

 有害事象は、trametinib群で99%超、化学療法群で92%の患者で観察され、そのうち重篤な治療関連有害事象はtrametinib群で9%、化学療法群で11%の患者で確認された。両群ともに有害事象によって治療中止にいたった患者は9%、治療関連死は2%だった。

 trametinib群における主な有害事象は、発疹が57%、下痢が43%、下肢浮腫が26%、疲労が26%。一方、化学療法群では悪心が37%で最も多かった。

 グレード3/4の有害事象に限ると、グレード3の高血圧はtrametinib群で12%、化学療法群で3%、グレード3の発疹はそれぞれ7%、0%だった。

 これらの結果からRobert氏は、「MEK阻害剤trametinibによる治療は、化学療法群と比べ、PFS、OS、RRを有意に改善したほか、有害事象は管理・忍容可能であった」と述べ、trametinibは、BRAF V600E変異の転移性メラノーマ患者への新たな治療選択肢になり得るとの考えを示した。