アジア地域の再発・難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(B-NHL)またはマントル細胞リンパ腫(MCL)患者を対象に、ボリノスタットの有効性と安全性を評価する多施設共同のフェーズ2試験(NCT00875056)が実施され、濾胞性リンパ腫(FL)患者で奏効率49%、PFS中央値17.5カ月と臨床的に重要な効果が得られることがわかった。6月1日から5日までシカゴで開催された第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、東海大学医学部付属病院血液腫瘍内科の安藤潔氏が発表した。

 ボリノスタットはヒストン脱アセチル化酵素阻害剤で、さまざまなタイプの血液悪性腫瘍に対し、単剤または併用で活性が示されている。

 安藤氏らは、アジアの地域研究として、再発・難治性の低悪性度B-NHLまたはMCLの患者を対象として、ボリノスタットの単群、非ランダム化のフェーズ2試験を実施した。

 21日を1サイクルとして、ボリノスタット200mgを経口で1日2回、14日間連続投与した。試験の主要評価項目は奏効率で、判定はChesonらによる再発・難治性FLに対するリンパ腫効果判定基準(1999年)に従った。

 2009年2月から2010年2月までに、日本、韓国、台湾、香港から計56人が登録され、このうち日本人患者は45人だった。疾患の内訳は、FLが39人(年齢中央値60歳)、FL以外の低悪性度B-NHLが7人(同61歳)、MCL4人(同72歳)、その他6人(55歳)だった。日本人患者はそれぞれ30人、7人、4人、4人が含まれた。濾胞性リンパ腫国際予後指標(FLIPI)で高危険群だったのはFLの8人だった。前治療数の中央値は、FLが1、FL以外の低悪性度B-NHLが3、MCLが3、その他2で、リツキシマブを含む化学療法はそれぞれ30人(77%)、6人(86%)、4人(100%)、6人(100%)に行われた。

 2011年2月25日のデータカットオフ日までに38人(68%)が投与を中止し、継続していたのは18人(32%)だった。治療サイクル数の中央値は12、治療継続期間の中央値は252日。56人において、計画された用量に対する比(ratio for planned dosage)は86%だった。

 奏効率は、FAS解析ではFLで49%(95%信頼区間:32-65)となり、ボリノスタットはあらかじめ定義された統計学的に成功とされる基準を満たすことが示された。FL以外の低悪性度B-NHLでは43%(同:10-82)、MCLでは0%(同:0-60)だった。

 FL患者におけるPFS中央値は17.5カ月で、奏効が得られた19人では中央値に未到達である。また、FL患者における治療成功期間(TTF)中央値は10.8カ月、再発までの期間(TTR)中央値は8.6カ月だった。

 ITT解析によるOSは未到達。データカットオフ日までに死亡例はなかった。

 薬剤に関連する有害事象は過去の報告と一致していた。グレード3以上の血液毒性では血小板減少(48%)、好中球減少(41%)が多く、非血液毒性では下痢(5%)、食欲低下(7%)が多かった。4人(25%)に重篤な有害事象(SAE)が発現し、多かったのは血小板減少と食欲低下で、死亡は報告されていない。グレード3以上の有害事象が発現するまでの期間は中央値で15日(範囲:2-497日)だった。また、頻度は高くなかったが、グレード3以上の感染症も患者の2%に発現した。有害事象によるボリノスタットの減量は39人(70%)で必要だった。