他剤治療歴のあるEGFR野生型の非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象としてエルロチニブドセタキセルを比較したフェーズIII試験の結果、ドセタキセルはエルロチニブよりも無増悪生存期間(PFS)、奏効率、病勢コントール率(DCR)をいずれも有意に改善したことが明らかになった。6月1日から米国Chicagoで開催されている第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、イタリアFatebenefratelli e Oftalmico HospitalのM.C. Garassino氏が発表した。

 この試験は、TAILOR(Tarceva Italian Lung Optimization Trial)と命名された多施設フェーズIII試験。EGFR野生型のNSCLC患者のみを対象に、2次治療としてエルロチニブとドセタキセルを直接比較したランダム化臨床試験はこれが初めて。今回は、追跡期間中央値が20カ月時点での中間解析の成績が報告された。

 試験の対象は、組織検査で進行NSCLCとの確定診断を受けた18歳以上の患者のうち、遺伝子検査でEGFR遺伝子のエクソン19または21に変異のない野生型であることが確認され、しかも白金製剤ベースの化学療法を以前に受けた者とした。タキサン系薬剤や抗EGFR抗体製剤を以前に使用した例は除外した。1次エンドポイントは全生存期間(OS)とし、2次エンドポイントはPFS、奏効率、安全性、QOLとした。KRAS変異の有無についても評価した。

 登録したNSCLC患者702人のうち、以上の条件を満たす患者は222人だった。これらの患者を2群に無作為に割り付け、ドセタキセル群には75mg/m2を第1日と第21日に投与するか、または35mg/m2を第1日、第8日、第15日、第28日に投与した。エルロチニブ群の患者には150mgを毎日投与した。

 今回のITT解析対象となったのはドセタキセル群110人、エルロチニブ群109人。追跡期間の中央値が20カ月の時点で、このうち199人が再発しており、157人が死亡している。

 年齢、性別、ECOGスコア、組織学的分類、喫煙歴、KRAS変異の割合などの患者背景について、両群間に大きな差はみられなかった。

 OSに関する分析は、想定ハザード比(0.67)をログランク検定を用いて有意差5%、検出力80%で得るために必要なイベント(死亡)数199に未達だったため、今回の報告には含まれなかった。

 PFSの中央値はドセタキセル群3.4カ月、エルロチニブ群2.4%であり、ドセタキセル群が有意に長かった(ハザード比0.69、95%信頼区間:0.52-0.93、p=0.014)。また、このハザード比に基づいて算出した6か月時点での無増悪生存率はそれぞれ28.9%、16.9%であり、ドセタキセル群が12%上回った。

 ECOGスコア、組織型(腺癌、扁平上皮癌)、性別、喫煙歴の有無、KRAS変異の有無別にPFSを評価したサブグループ解析でも、いずれの項目に関してもドセタキセル群の方がPFSが有意に長かった。また、KRASに変異のある患者と野生型の患者との間でPFSに有意差は認められなかった(PFS中央値はKRAS変異例で2.6カ月、野生型の例で2.4カ月、ハザード比0.91、p=0.558)。

 奏効率については、ドセタキセル群で完全奏効(CR)4.3%、部分奏効(PR)9.6%、安定(SD)27.6%、進行(PD)58.5%であり、CRとPRを合計した奏効率(RR)は13.9%、病勢コントール率(DCR;CR+PR+SD)は41.5%だった。一方、エルロチニブ群ではCR 0.0%、PR 2.2%、SD 20.6%、PD 77.2%、RR 2.2%、DCR 22.8%であり、いずれの項目もドセタキセル群が有意に優れていた。

 頻度の高かったグレード3-4の副作用は、皮膚毒性(ドセタキセル群0%、エルロチニブ群14%)、無力症(それぞれ8%、6%)。好中球減少症(27%、1%)、発熱性好中球減少症(4%、0%)だった。ドセタキセル群では脱毛(全グレード;ドセタキセル群29%、エルロチニブ群2%)の頻度が高かった。

 治療に関連した有害事象の発生率はドセタキセル群3.8%、エルロチニブ群1.8%であり、投薬中止に至った治療関連有害事象がそれぞれ1.0%、0.9%、用量変更を要した治療関連有害事象が22.1%、29.0%だった。

 Garassino氏は、以上のデータから「EGFR変異のないNSCLC患者に対する2次治療薬として、ドセタキセルはエルロチニブよりもPFS、奏効率およびコントール率を有意に改善した。毒性は予想の範囲内だった。また、KRASは2次治療の予後因子ではないと思われる」と結論した。なお、OSに関する分析は、死亡例が199人に達した時点で開始する予定と述べた。