ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、チミジル酸生成酵素(TS)遺伝子の発現がALK陰性NSCLCに比べ相対的に低いことが明らかとなった。ペメトレキセドの分子標的の一つとしてTSがあり、TS値が腺癌で低いことが腺癌に対し有効な理由と考えられている。過去にALK陽性NSCLCでペメトレキセドの効果が高まることが報告されており、今回、Response Genetics社のデータベースを用いて、TSが低い患者がALK陽性患者に多いかどうかを調べたもの。

 結果は6月1日から5日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、米国UC Davis Comprehensive Cancer CenterのD.R.Gandara氏によって発表された。

 研究グループは、EML4-ALKの転写物を0.1%未満で検出できるRT-PCR測定系を用いて、患者のALK融合遺伝子の有無を判定した。

 ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍の微小切片からRNAを抽出し、ALK陽性・陰性NSCLCのTS発現レベルを調べた。βアクチンの発現を1とした場合のALK陽性NSCLC患者(63人)のTS発現の中央値 2.02(95%信頼区間:1.60-2.11、範囲:0.55-19.44)に対してALK陰性患者(1698人)のTS発現の中央値は3.32(95%信頼区間:3.15-3.45、範囲:0.36-53.51)と、有意にALK陽性患者で低かった(p<0.0001)。TSレベルのカットオフ値を2.33とすると、ALK陽性患者でカットオフ値未満は68%だったのに、陰性患者は32%だけだった。ALK陽性患者は全員EGFR遺伝子、KRAS遺伝子に変異がない腺癌の患者だった。ALK陽性患者の年齢中央値は59歳(33-88)、男性が51%だった。

 ペメトレキセド未治療のALK陽性非小細胞肺癌でクリゾチニブの投与を受け、CR、PR、3カ月超の病勢安定が得られたのち進行したNSCLCに、クリゾチニブとペメトレキセドを併用する群とペメトレキセド単剤を投与する群を比較するSWOGのフェーズ2試験が進んでいるという。