症候性骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対するラジウム-223(Radium-223、海外での製剤名「Alpharadine」)投与はプラセボと比べ、有意に全生存期間(OS)を延長することが、フェーズ3臨床試験であるALSYMPCA試験の追跡結果から示された。6月1日からシカゴで開催された第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、英国Royal Marsden HospitalのChris Parker氏が発表した。

 Radium-223は、骨転移を有する癌患者の治療を目的として開発中のアルファ線放射性医薬品。カルシウム類似作用を持ち、Caの代わりに骨に取り込まれ、骨転移巣を攻撃する機序を持つ。骨転移を有するCRPCの患者を対象としたフェーズ2試験で、全生存期間を4.5カ月延長することが明らかとなっている。

 ALSYMPCA試験は試験途中でRadium-223の有効性が確認されたため試験は中断し、昨年、その結果が発表されている。全生存期間(OS)中央値はプラセボ群が11.2カ月だったのに対してRadium-223群は14カ月でハザード比0.695(95%信頼区間:0.552-0.875、p=0.00185)と、Radium-223群で有意に延長することが報告されている。今回、さらに追跡した結果を発表した。

 ALSYMPCA試験の対象は、2個以上の骨転移巣を有し、他臓器には転移がない、症候性骨転移を有するCRPC患者。ドセタキセル投与例とドセタキセル不使用例のいずれの場合も含めた。計921例が登録され、標準療法に加えてRadium-223(50kBq/kg)を投与する群と標準療法+プラセボの群の2群に2:1の割合で割り付けた。

 Radium-223群(n=614)、プラセボ群(n=307)の患者背景は、平均年齢は両群ともに70歳、登録時のECOGスコアは1以下が両群ともに約86%、転移巣が6個未満はRadium-223群16%、プラセボ群12%、6〜12個はRadium-223群44%、プラセボ群48%、20個以上が両群ともに40%だった。WHOラダーによる痛みのインデックスが2以上だった症例は両群ともに約54%だった。Hb値は両群ともに約12g/dLで、PSA値はRadium-223群146μg/L、プラセボ群173μg/Lだった。

 プロトコール通りRadium-223を6回投与されたのは63%だった。

 追跡の結果、OS中央値はプラセボ群が11.3カ月だったのに対してRadium-223群は14.9カ月でハザード比0.695(95%信頼区間:0.581-0.832、p=0.00007)と、Radium-223群で有意に延長しており、中間解析の結果とほぼ同様だった。

 試験前にドセタキセル投与歴があるグループを対象に検討した結果、プラセボ群のOS中央値が11.3カ月だったのに対し、Radium-223群は14.4カ月と有意に長く、ドセタキセル投与歴のないグループでもプラセボ群11.5カ月に対し、Radium-223群16.1カ月と有意に延長していた。

 ビスホスホネート製剤使用中のグループを対象に検討した結果、プラセボ群のOS中央値が11.5カ月だったのに対し、Radium-223群は15.3カ月と有意に長く、ビスホスホネート製剤未使用グループを対象とした場合でもプラセボ群11.0カ月だったのに対し、Radium-223群14.5カ月で有意に延長していた。

 登録時の総ALPが220U/L未満のグループを対象に検討した結果、プラセボ群のOS中央値は15.6カ月、Radium-223群は17.0カ月で2群間に有意差は見られなかった。総ALPが220U/L以上のグループでは、プラセボ群8.1カ月に対し、Radium-223群11.4カ月と有意にRadium-223群が延長していた。

 副次評価項目である骨関連事象(SRE)の発症までの期間は、プラセボ群6.7カ月に対し、Radium-223群12.2カ月と有意に延長していた。

 安全性と忍容性については、安全性評価の対象となったRadium-223群600例、プラセボ群301例のうち、最もよく見られた非血液学的有害事象は、骨痛がプラセボ群62%(うちグレード3-4が26%)に対してRadium-223群50%(うちグレード3-4が21%)、悪心がプラセボ群36%に対してRadium-223群35%、下痢がプラセボ群15%に対してRadium-223群15%だった。血液学的有害事象については、貧血がプラセボ群、Radium-223群ともに31%と差は見られなかった。好中球減少はRadium-223群5%、プラセボ群1%、血小板減少はRadium-223群12%、プラセボ群6%だった。