BRAF V600E変異陽性のメラノーマ患者を対象にした国際共同フェーズ3試験の結果から、BRAF阻害剤dabrafenib投与による無増悪生存率(PFS)は6.7カ月で、対照となるダカルバジン投与群の2.9カ月と比べて有意に延長し、完全奏効率は50%であることが示された。ドイツUniversity Hospital, Schleswig-HolsteinのAxel Hauschild氏が、6月1日から米国シカゴで開催された第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表した。

 これまでに、BRAF V600E変異陽性のメラノーマ患者に対するdabrafenibのフェーズ2試験の結果から、奏効率は59%で、PFS中央値が6.3カ月という成績が示されている。

 フェーズ3試験であるBREAK-3試験では、dabrafenib またはダカルバジンで治療した転移性メラノーマ患者のPFSを比較した。

 対象は、未治療(IL-2、手術、放射線治療を除く)の切除不能ステージIIIまたはIV、ECOG PS0-1のBRAF V600E変異陽性のメラノーマ患者250人。dabrafenib群 (150 mgを1日2回経口投与、187人)とダカルバジン群 (1000 mg/m2を3週間おきに静脈注射、63人)に3:1に割り付けた。クロスオーバーは許可しており、ダカルバジン群のうち、画像診断で病態の進行が確認された28人(PD患者の68%)について、dabrafenibでの治療を行った。

 主要評価項目は、治験責任者により評価したPFS。副次評価項目は、全生存率、客観的奏効率(ORR)、クロスオーバー後のPFS。2011年12月19日までのデータで評価した。

 両群の患者背景に有意差はなく、平均年齢が50〜53歳、女性の割合は40ー41%、ECOG PS0は66ー70%、ステージ3、4(M1a+M1b)は34-37%を占めた。

 試験の結果、治験責任者により評価したPFS中央値は、dabrafenib群が5.1カ月となり、ダカルバジン群の2.7カ月と比べ、有意に延長した(ハザード比0.30、95%信頼区間:0.18ー0.51、p<0.0001)。また、第3者評価機関によるPFSの評価では、dabrafenib群が6.7カ月、ダカルバジン群2.9カ月となり、同様に有意に延長した(ハザード比0.35、95%信頼区間:0.20ー0.61)。

 dabrafenib群の抗腫瘍効果は、治験責任者による評価では完全奏効(CR)が3%(6人)、部分奏効(PR)が50%(93人)、ORRは53%。第3者評価機関による評価では、CRが3%(6人)、PRが47%(87人)、ORRは50%。

 一方、ダカルバジン群の抗腫瘍効果は、治験責任者による評価ではPRが19%(12人)で、ORRが19%、第3者評価機関による評価ではCRが2%(1人)、PRが5%(3人)、ORRが6%だった。

 治療関連の有害事象についてみると、dabrafenib群では 角質増殖(51%)、疲労(17%)、頭痛(17%)などが見られ、グレード3ではケラトアカントーマ型有棘細胞癌(5%)、発熱(3%)など。一方、ダカルバジン群では悪心(36%)、疲労(23%)、嘔気(20%)など。好中球減少症についてはグレード3が5%、グレード4が7%だった。光過敏症がdabrafenib群の3%、ダカルバジン群の5%で確認された。重篤な有害事象は、dabrafenib群の23%、ダカルバジン群の22%で確認された。dabrafenib群では扁平上皮癌(5%)、発熱(4%)、ダカルバジン群では腹部痛(3%)などだった。

 有害事象により治療を中止した患者の割合はdabrafenib群、ダカルバジン群ともに3%、投与量の減量はdabrafenib群が18%、ダカルバジン群が17%、投与時間中断・遅れはdabrafenib群、ダカルバジン群ともに27%。

 これらの結果からHauschild氏は、「BRAF V600E変異陽性メラノーマに対するdabrafenib投与は、ダカルバジン群と比べ、増悪や死亡のリスクを70%減少した」と述べ、次のステップとしてステージIV患者への補助療法としてBRAF/MEK阻害剤(dabrafenib、trametinib)併用療法について試験を検討する必要があると指摘した。