切除不能の進行高分化型の膵神経内分泌腫瘍(NET)を対象にした、ランダム化二重盲検プラセボ対照国際共同フェーズ3試験の第3者評価機関による評価において、スニチニブ群はプラセボ群と比べ、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが示された。米国EVAS Strelitz Diabetes Research Center and neuroendocrine UnitのAaron Vinik氏が、6月1日から米国シカゴで開催された第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表した。

 膵NETへの標準的な化学療法としては、オクトレオチドとエベロリムスによる治療が中心となっている。欧米ではすでにスニチニブの膵NETへの適応拡大が承認されているが、日本では現在、承認申請中だ。

 同試験は、主要評価項目のPFSと副次評価項目の全生存期間(OS)、有害事象の発現において、プラセボ群とスニチニブ群間に差が見られ、スニチニブの有効性が示されたことから、試験は中断されている。

 今回の後ろ向き解析の目的は、第3者評価機関(BICR)によってPFSに対するスニチニブ投与の有用性について確認するほか、クロスオーバーが行われた後でもOSにおいてスニチニブ群の効果が確認されるかどうかを検討すること。

 対象は、CTまたはMRI撮影で過去12カ月以内に腫瘍の増悪が確認され、腫瘍の大きさが1cm以下、ECOG PSが0または1の高分化型、転移性または局所進行性の膵島細胞腫瘍(膵NET)患者。患者をスニチニブ群とプラセボ群に1:1にランダムに割り付け、スニチニブ群は1日37.5mgから投与を開始した。プラセボ群は、腫瘍の増悪や治療中止例に限り、スニチニブでの治療を認めた。

 主要評価項目はPFS、副次評価項目はOS。腫瘍の評価はRESISTを用い、治療前、5週目、9週目、その後は8週おきに治療終了まで行った。撮影データは、第3者評価機関によって収集し、2人の放射線科医により、2回評価した。OSは、2年ごとに評価し、治験開始5年目または患者の95%が死亡するまで評価を行った。

 2007年6月から2009年4月までに171人が登録され、スニチニブ群(86人)とプラセボ群(85人)にランダムに割り付けた。患者背景は両群間に差はなかったが、ECOG PSにおいてのみ違いが見られ、スニチニブ群でのECOG PS 0の占める割合は62%、プラセボ群では48%だった。

 解析の結果、治験責任者により評価したPFS中央値は、スニチニブ群が11.4カ月、プラセボ群が5.5カ月で、スニチニブ群において有意にPFSが延長した(ハザード比0.418、95%信頼区間:0.263-0.662、p=0.000118)。

 また、BICRにより評価したPFS中央値においても同様の傾向が確認され、スニチニブ群が12.6カ月、プラセボ群が5.8カ月で、スニチニブ群においてPFSが6.8カ月有意に延長した(ハザード比0.315、95%信頼区間:0.181-0.546、p=0.000015)。

 プラセボ群の59人(69%)は腫瘍増悪または試験終了に伴いスニチニブによる治療に切り替えた。

 試験中止までに、スニチニブ群で9人、プラセボ群で21人が死亡した。また、試験中止から2年後の2011年4月までに、スニチニブ群で40人、プラセボ群で47人の患者が死亡した。

 試験終了時点からの2年OSを推計した結果、スニチニブ群は33.0カ月、プラセボ群は26.7カ月となり、スニチニブ群で良好な傾向があったが、有意差は見られなかった(p=0.115)。

 Vinik氏は、BICRが評価したスニチニブ群におけるPFS中央値は、プラセボ群と比べ6.8カ月延長したという結果が出たことから、「この結果は、治験責任者による第3相試験の初期解析結果を支持し、膵NET患者へのスニチニブ投与の臨床的有用性を示す」との考えを示した。