ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)において、ALK阻害剤による治療で起こる耐性には、ALKキナーゼ領域での変異やALK融合遺伝子のコピー数増加による場合と、EGFR変異やKRAS変異など他の遺伝子変異による場合があることが、クリゾチニブ抵抗性患者の組織を用いた遺伝子解析で明らかになった。米国University of Colorado Anschutz Medical CampusのRobert C. Doebele氏らが、6月1日から米国Chicagoで開催された第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表した。

 ALK陽性NSCLC患者に対し、ALK阻害剤クリゾチニブが有効であることが報告されている。しかしクリゾチニブ治療に対して、生得的に抵抗性である場合(自然耐性)や投与後に抵抗性となる場合(獲得耐性)がある。

 そこで抵抗性の機序を解明するため、ALK陽性NSCLCでクリゾチニブ治療を受けた後に病勢進行した患者から得られたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を使って、ALKキナーゼ領域のシークエンス解析、FISH法によるALK融合遺伝子のコピー数増加(copy number gain:CNG)の測定、EGFRやKRASなどの遺伝子の解析を行った。

 病勢進行後に生検が行われた19人において、うち2人は自然耐性、17人は獲得耐性だった。なお17人のうち1人はクリゾチニブ治療後に第二世代ALK阻害剤の治療を受け、その後で生検が行われた。

 解析が可能だった16人のうち6人 (38%) ではALKキナーゼ領域に二次的な変異が見られた。2つの新たな変異(F1174C 、D1203N)が各1人に、G1269A変異とL1196M変異が各2人に認められた。ALK融合遺伝子におけるコピー数増加は3人(19%)で認められた。

 また5人(31%)では別のoncogenic driverの変異が見られた。うち2人(12%)はEGFR変異(L858R)があった。しかし病勢進行後の組織ではALK融合遺伝子はなかった。別の3人(19%)ではKRAS変異(G12C、G12V、G13D)があり、このうち1人ではALK融合遺伝子がなかった。

 なおALKキナーゼ領域には変異がなく、コピー数増加も、EGFR変異、KRAS変異もない患者が3人(19%)。この3人では耐性メカニズムは明らかでないとした。

 これらの結果をまとめると、ALK阻害剤に対する耐性メカニズムとして、ALKキナーゼ領域の二次的変異やALK融合遺伝子のコピー数増加といったALK優位な耐性がおよそ50%、残りの半分はKRASやEGFRなど別の遺伝子変異などによるものと示唆された。このため耐性克服には、ALK優位を保持している患者とALK優位が消失した患者とを分けることが重要であるとした。