転移性の/または切除不能の消化管間質腫瘍(GIST)で、イマチニブとスニチニブのいずれも奏効しなかった患者を登録した無作為化フェーズ3試験GRIDで、regorafenibによる無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が示された。詳細は、米Dana-Farber Cancer InstituteのGeorge D. Demetri氏がASCO 2012で6月4日に報告した。

 経口分子標的薬のregorafenibは、マルチキナーゼ阻害薬で、フェーズ2試験ではイマチニブとスニチニブのどちらも奏効しなかったGIST患者に対する有効性が示されていた。

 GRID試験は、欧州、北米、アジア太平洋地域の17カ国で行われた二重盲検試験で、少なくともイマチニブとスニチニブを用いた治療を受けたが進行した患者に対するregorafenibの有効性と安全性の評価を目的としていた。

 転移性の/または切除不能なGISTで、先のイマチニブ療法中に進行またはイマチニブに強い不忍容を示し、さらにスニチニブ療法中に進行した患者で、modified RECIST 1.1基準に基づく測定可能病変が1カ所以上存在し、全身状態の指標であるECOG PSが0または1の患者を登録。2対1で、最善の支持療法+regorafenib(160mgの1日1回経口投与を3週間継続し1週間休薬)または最善の支持療法+偽薬に割り付けた。偽薬群の患者に進行が見られた場合には、オープンラベルでregorafenibを投与するクロスオーバーを認めた。

 主要エンドポイントはPFSとし、独立した評価グループがmodified RECIST 1.1基準を用いて分析した。2次評価指標は全生存期間、病勢コントロール率(DCR)、安全性などとし、有効性に関係する遺伝子型の解析もあらかじめ計画されていた。

 2011年1月から7月まで患者登録を実施。236人の患者をスクリーニングし、199人(年齢の中央値は58歳、男性が63.9%)を登録して、133人をregorafenib、66人を偽薬に割り付けた。両群の治療歴をみると、イマチニブとスニチニブの2剤のみ使用経験がある患者はregorafenib群の55.6%、偽薬群の59.1%で、残りの患者はこれら2剤に加えて他の治療も受けていた。

 ベースラインの患者特性は両群間で同様だった。

 主要エンドポイントに設定されたPFSの中央値は、regorafenib群が4.8カ月(95%信頼区間:4.1-5.8)、偽薬群は0.9カ月(同:0.9-1.1)で、ハザード比は0.27(同:0.18-0.39、p<0.0001)と有意差を示した。3カ月の時点の無増悪生存率は、regorafenib群が60%、偽薬群が11%、6カ月の時点ではそれぞれ38%と0%だった。

 サブグループ解析を行ったところ、ほぼ全ての患者群にregorafenibのPFS延長効果が認められた。

 当初は偽薬の投与を受けていたが進行が見られたためにregorafenibにクロスオーバーされた患者の転帰を調べたところ、当初からregorafenibに割り付けられた患者と同様にこの治療の利益を受けていた。

 DCR(完全奏効+部分奏効+病勢安定が12週以上持続した患者の割合)はregorafenib群が52.6%、偽薬群が9.1%、客観的奏効率(完全奏効+部分奏効と判定された患者の割合)はそれぞれ4.5%と1.5%だった。

 全生存期間については、イベント発生件数がいまだ少ないために中央値は得られていない。偽薬群の患者の85%が進行後にクロスオーバーされてregorafenibの投与を受けている状態で求めたハザード比は0.77(95%信頼区間:0.42-1.41、p=0.20)になった。

 二重盲検期間にregorafenib群に多く見られた治療関連有害事象は、手足皮膚反応、高血圧、下痢、疲労感、粘膜炎など。グレード3以上の有害事象でregorafenib群に多かったのは高血圧、手足皮膚反応、下痢だった。有害事象は予想の範囲内で、用量調節により管理が可能だった。有害事象による治療中止は、regorafenib群が6.1%、偽薬群が7.6%と少なかった。

 ベースラインでGISTの遺伝子型分析が可能だったのは両群ともに約半数の患者。分析結果は、約50%がKITのエクソン11に、約15%がエクソン9に変異を有すること、5-10%はKITとPDGFRA遺伝子のいずれにも変異がないことを示した。regorafenibのPFSへの影響はKIT遺伝子に変異がある患者でより大きく、エクソン11変異陽性患者ではハザード比は0.212(95%信頼区間:0.098-0.458)、エクソン9変異陽性患者では0.239(同:0.065-0.876)だった。

 適切な検出力を持つ国際的な臨床試験の結果は、少なくともイマチニブとスニチニブの両方が奏効しなかった患者のPFSをregorafenibが有意に改善すること、忍容性は高いことを示し、この薬剤が、イマチニブ療法とスニチニブ療法が奏効しなかったGIST患者に対する新たな標準治療になる可能性を示唆した。