転移性腎細胞癌に対するファーストライン治療としてaxitinibは有効で、血圧の上昇や有効血中濃度への到達が見られればより良い予後が期待できる可能性が示された。6月1日から米国Chicagoで開催された第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、米Cleveland Clinic Taussig Cancer InstituteのBrian Rini氏が発表した。

 転移性腎細胞癌に対する第2世代の血管新生阻害薬として注目されているaxitinibは、AXIS試験において、セカンドライン治療としてソラフェニブに比べて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を延長することが示されている。

 このAXIS試験でのaxitinibの投与量は、5mgを1日2回となっているが、これまでの検討では、増量するとさらに有効性が高まる可能性が示唆されている。

 こうした背景を加味し、今回、Rini氏らは、転移性腎細胞癌に対するファーストライン治療としてaxitinibを投与するとともに用量漸増による効果を評価するフェーズ2試験を行った。主要評価項目は客観的奏効率で、5mg 1日2回から10mg 1日2回まで用量を漸増する検討を行った。

 試験の対象は、未治療転移性腎細胞癌患者で、血圧が140/90mmHg未満の症例。

 試験デザインは、まず5mg 1日2回投与を4週間行った(サイクル1)。この1サイクル目に24時間血圧測定(4日目と15日目に実施)と6時間薬物動態解析(15日目に実施)を行った。

 次に、連続した2週間で、血圧が150/90mmHg以下、降圧薬の服用は2剤以下、axitinib関連のグレード3、4以上の有害事象が見られず、減量を必要としなかった患者を対象に、axitinib 5mg1日2回+漸増群(A群)、axitinib 5mg1日2回+プラセボ群(B群)にランダム化して割り付けた。また上記の条件をクリアしなかった患者について、axitinib 5mg1日2回(減量含む)投与群(C群)とした。

 試験に登録されたのは213例で、年齢61歳、男性67%で、ECOG PSが0だったのは63%、1だったのは36%。腎摘除術後例は82%で、治療までの期間が1年未満だったのは59%だった。試験期間中の死亡例は55%で、うち進行が原因だったのが53%だった。

 追跡の結果、対象者全体のPFS中央値は14.5カ月、客観的奏効率は48%だった。

 用量調整に関する評価基準に満たなかったC群は91例、用量調整に関するランダム化評価を行ったA群とB群の合計は112例だった。

 A+B群のPFS中央値は14.5カ月、客観的奏効率は43%だった。C群のPFS中央値は16.4カ月、客観的奏効率は59%だった。

 axitinibについては、AUC12が150ng・h/mL以上であると、150ng・h/mL未満の場合と比べてPFSが有意に延長することがこれまでの検討で明らかになっている。

 PK解析を行った結果、サイクル1の15日目において、A+B群(n=28)のAUC12は99ng・h/mL、C群(n=23)のAUC12は234ng・h/mLだった。

 これらのPK解析を行った患者51例について、AUC12が150ng・h/mL以上に達していた27例のPFS中央値は13.9カ月で、150ng・h/mL未満だったグループのPFS中央値8.3カ月に比べて有意に長かった。

 拡張期血圧が平均15mmHg以上上昇したグループ(n=20)のPFS中央値は19.3カ月、客観的奏効率は60%で、拡張期血圧上昇が平均で15mmHg未満のグループ(n=41)11.1カ月、51%と比べて有意に良好だった。また、拡張期血圧が90mmHg以上だったグループ(n=17)のPFS中央値は22.5カ月、客観的奏効率は65%で、90mmHg未満だったグループ(n=46)の13.7カ月、50%に比べて有意に良好だった。

 なお、拡張期血圧が15mmHg以上上昇したグループのAUC12は235ng・h/mL、15mmHg以上上昇しなかったグループのAUC12は93ng・h/mLだった。また、拡張期血圧が90mmHg以上だったグループのAUC12は195ng・h/mL、90mmHg未満だったグループは110ng・h/mLだった。

 これらの結果からRini氏は、「転移性腎細胞癌に対するファーストライン治療としてaxitinibは有効で、有効血中濃度の維持と血圧の上昇が見られればより良い予後が期待できる。この試験の最終的な結果に注目している」と締めくくった。