低悪性度リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫(MCL)のファーストライン治療として、ベンダムスチンリツキシマブの併用療法(B-R療法)は、R-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)と比べて無増悪生存期間(PFS)と完全寛解率(CR)を有意に改善し、毒性も低いことが、多施設共同のフェーズ3試験(StiL NHL 1)で示された。6月1日から5日にかけてシカゴで開催されている第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、ドイツUniversity Hospital GiessenのMathias J. Rummel氏がStudy Group indolent Lymphomas(StiL)を代表して発表した。

 Rummel氏らは、ドイツの81施設が参加したこの試験の解析結果を米国血液学会(ASH2009)で報告している。今回はカットオフ日を2011年10月とした最新の解析結果を発表した。

 対象は、CD20陽性の濾胞性リンパ腫などの低悪性度リンパ腫またはMCLで、病期がIII期またはIV期の患者。化学療法、インターフェロン、リツキシマブなどによる治療歴はないこととした。

 患者をB-R療法群またはR-CHOP療法群のいずれかに無作為に割り付けた。B-R療法群では、ベンダムスチン90mg/m2を1日目と2日目、リツキシマブ375mg/m2を1日目に投与した。R-CHOP療法群では、シクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、ビンクリスチン1.4mg/m2を1日目、プレドニゾロン100mgを1日目から5日目、リツキシマブ375mg/m2を1日目に投与した。投与は6サイクルまでとされた。主要評価項目は3年後のPFSで、B-R療法群のR-CHOP療法群に対する非劣性(10%未満の低下)を検証することとした。

 2003年9月から2008年8月までにB症状、貧血や血小板減少、7.5cm以上(1領域)の腫瘍径などが認められた549人が登録され、514人が評価可能だった。疾患では濾胞性リンパ腫が54%を占め、次いでMCLの18%だった。B-R療法群は261人(年齢中央値64歳)、R-CHOP療法群253人(同63歳)となった。両群の患者背景はほぼ同様で、病期がIV期の患者は両群とも77%、国際予後指標(IPI)が2を超える患者は37%と34%、濾胞性リンパ腫国際予後指標(FLIPI)が3以上の患者は46%と48%だった。

 奏効率は、B-R療法群92.7%、R-CHOP療法群91.3%、CRはそれぞれ39.8%と30%となり、B-R療法群で有意に改善した(p=0.021)。

 観察期間中央値45カ月におけるPFS中央値は、B-R療法群69.5カ月、R-CHOP療法群31.2カ月となり、ハザード比は0.58(95%信頼区間:0.44−0.74)で、B-R療法群で有意に改善した(p=0.0000148)。
 
 B-R療法群によるPFSの延長は、組織型サブタイプの内、濾胞性リンパ腫、MCL、マクログロブリン血症で認められた。濾胞性リンパ腫のPFS中央値は、B-R療法群では未到達、R-CHOP療法群は40.9カ月、ハザード比は0.61(95%信頼区間:0.42−0.87)となった(p=0.0072)。FLIPIが0から2の患者ではハザード比は0.56で有意差がみられたのに対し(p=0.0428)、3から5の患者ではハザード比は0.63で有意差はみられなかった(p=0.0679)。
 
 B-R療法によるPFSの延長は、60歳以下、61歳以上のいずれの患者でも有意に認められた。またLDH値が240U/L以下の患者でもPFSが有意に延長したが、240U/Lを超える患者では有意差はみられなかった。
 
 7年全生存率(OS)は、B-R療法群75.9%、R-CHOP療法群59.5%で有意差はみられなかった。理由として、R-CHOP療法群の約半数の患者が進行時にB-R療法を受けたことなどがあげられた。
 
 血液毒性の発現は、R-CHOP療法群と比べてB-R療法群で低かった。グレード3以上の好中球減少は、R-CHOP療法群の69%に対し、B-R療法群では29%だった。非血液毒性は、B-R療法群ではR-CHOP療法群と比べ脱毛、神経障害、感染症の発現率が有意に低かった。皮膚症状(紅斑、アレルギー反応)の発現率はB-R療法群でやや高かった。
 
 2次発癌は、B-R療法群で20人、R-CHOP療法群で23人に発現した。両群で各1人に血液腫瘍が発現し、B-R療法群では骨髄異形成症候群(MDS)、R-CHOP療法群では急性骨髄性白血病(AML)だった。中高悪性度リンパ腫への形質転換は全対象の2%未満で観察され、B-R療法群では6人、R-CHOP療法群では4人だった。
 
 Rummel氏は「B-R療法は、ファーストライン治療として標準的に使用されるR-CHOP療法と比べ毒性の発現が低く効果も高いので、濾胞性リンパ腫などの低悪性度リンパ腫、MCLに対するファーストライン治療として好ましいと考えられる」と結論した。
 
 B-R療法後にリツキシマブによる維持療法を2年間または4年間投与する臨床試験が、StiL NHL 7試験として実施されていることも紹介された。