難治性の転移性大腸癌(mCRC)患者を登録し、perifosine+カペシタビン(P-CAP)と、偽薬+カペシタビン(CAP)の生存利益を比較した二重盲検の無作為化フェーズ3試験X-PECTで、全生存期間と無増悪生存期間に有意差を見いだすことはできなかった。詳細なデータは、米Sarah Cannon Research InstituteのJohanna C. Bendell氏によってASCO 2012で6月3日に口頭発表された。

 perifosineはアルキルリン脂質誘導体で、AKT/PKBが関与する信号伝達経路を阻害または修飾する、経口型の分子標的薬だ。

 先に行われた、2通り以上の治療を経験していたmCRC患者を登録し、P-CAPとCAPの全生存利益と安全性を評価した無作為化フェーズ2試験では、P-CAPによる無増悪生存期間の有意な延長(ハザード比0.254、95%信頼区間:0.117-0.555)と全生存期間の有意な延長(ハザード比0.370、同:0.180-0.763)が認められた。

 フェーズ2の好結果を受けて、米国内66施設で行われたのがX-PECTで、対象に選ばれたのは難治性のmCRC患者だった。2010年3月30日から2011年8月10日までに468人の患者を登録した。

 組み入れ条件は、再発性または転移性の結腸または直腸の腺腫で、進行大腸癌患者が利用可能な標準治療が奏効せず、18歳以上で、全身状態の指標であるECOGスコアは0-1とした。

 1対1でP-CAP(perifosine 50mgを1日1回経口投与+カペシタビン1000mg/m2を1日2回、14日間経口投与)またはCAP(偽薬+カペシタビン1000mg/m2を1日2回、14日間経口投与)に割り付けた。1サイクルは21日とした。

 主要転帰評価指標は全生存期間に設定し、intention-to-treat分析した。

 ベースラインの患者の人口統計学的特性に差は無かった。65歳未満の患者はP-CAP群の58.5%、CAP群の65.0%を占め、男性の割合はそれぞれ53.0%と57.7%、ECOGスコアが0だった患者は39.7%と39.7%、K-ras変異陽性は51.3%と50.4%だった。先にオキサリプラチンの投与を中止した理由が病気が進行したためだった患者は60.3%と66.2%、オキサリプラチンの毒性に耐えられなかった患者が39.7%と33.8%存在した。両群ともに患者が経験していた治療レジメンの中央値は4種類だった。

 2012年3月19日まで追跡を実施した。追跡期間の中央値は6.6カ月になった。

 全生存期間の中央値は、P-CAP群が6.4カ月、CAP群が6.9カ月でハザード比は1.111(95%信頼区間:0.905-1.365、p=0.315)と有意差を示さなかった。K-ras野生型患者の生存期間の中央値はそれぞれ6.6カ月と6.8カ月で、ハザード比は1.020(同:0.763-1.365、p=0.894)。K-ras変異陽性患者群では、5.4カ月と6.9カ月で、ハザード比は1.192(同:0.890-1.596、p=0.238)だった。

 無増悪生存期間についても、両群間に有意差は見られなかった。中央値はC-CAP群が10.9週間、CAP群が11.4週間でハザード比は1.031(95%信頼区間:0.854-1.244、p=0.752)。K-ras野生型患者ではそれぞれ11.1週間と9.4週間でハザード比は0.883(同:0.677-1.153、p=0.362)、K-ras変異陽性患者では10.6週間と11.8週間でハザード比は1.167(同:0.895-1.523、p=0.254)だった。

 サブグループ解析をさらに進めたところ、K-ras野生型で、オキサリプラチンの毒性に耐えられず使用を中止していた患者群では、無増悪生存期間に有意な差が認められた。無増悪生存期間はP-CAP群(46人)が18.1週間、CAP群(40人)が6.6週間でハザード比は0.514(95%信頼区間:0.329-0.801、p=0.003)。全生存期間はそれぞれ8カ月と6.2カ月で、ハザード比は0.769(同:0.477-1.239、p=0.280)とP-CAP群のほうが長い傾向を示した。

 客観的奏効率(完全奏効+部分奏効を達成した患者の割合)は2.6%と3.0%で有意差はなく、有害事象の発生率にも差は無かった。

 フェーズ2試験では有望な結果が得られたが、このフェーズ3では生存利益が見られなかった。Bendell氏は、考え得る理由の一つとして、今回のほうが登録した患者の治療歴が多かったことをあげた。

 ベースラインと試験期間中に患者から採取した血液と腫瘍由来の標本を対象とするバイオマーカー分析は、さらなるサブグループ解析を行ったのちに実施する予定だという。