未治療の転移性腎細胞癌(mRCC)患者に対して、経口マルチキナーゼ阻害剤pazopanibスニチニブを10週間ずつクロスオーバーデザインで投与したランダム化二重盲検試験の結果、pazopanibの方が好ましいと回答した患者の割合はスニチニブよりも有意に高かったことが明らかになった。6月1日から米国Chicagoで開催されている第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、仏Institut Gustave RoussyのB.J. Escudier氏が発表した。

 pazopanibの選好度がスニチニブを上回った理由は、投与期間中のQOLが良好、倦怠感が少ないなど、忍容性の点でpazopanibが優れると判断した患者が多かったためだ。

 Escudier氏らは、未治療のmRCC患者168人を無作為に2群に割り付け、第1群にはまずpazopanib 800mgを10週間投与し、2週間のウォッシュアウト期間の後にスニチニブ50mgを10週間投与した。第2群では薬剤を投与する順序を逆にした。

 試験の主要評価項目は、両薬剤の投与を終了した22週時点で患者が回答した薬剤選好度とした。副次評価項目は、選好の理由、QOL、安全性、用量変更の有無とし、医師による選好度、奏効率(RECIST)についても評価した。

 患者背景について、第1群(82人)と第2群(86人)との間に、年齢(平均62歳、64歳)、性別(男性63%、71%)、ECOG PS(0/1;74/26人、70/30人)、転移部位数(1カ所/複数;28/72人、23/77人)、診断からの期間の中央値(6.7カ月、9.1カ月)に関して、大きな差は認められなかった。

 1剤目の投与期間中の脱落は第1群で18人(有害事象(AE)9人、進行6人など)、第2群14人(AE 7人、進行3人など)であり、2剤目の投与期間中の脱落はそれぞれ6人(AE 1人、進行5人)、4人(AE 1、進行2人など)であった。残った患者のうち、1剤目の投与期間後に「進行」と判断された他の患者(第1群8人、第2群4人)を除外した第1群の54人、第2群の60人を主解析対象とした。

 その結果、これらの患者における薬剤選好度は、「pazopanibが好ましい」との回答率が70%だったのに対し、「スニチニブが好ましい」は22%、「好ましさに違いがない」が8%だった。pazopanibとスニチニブの選好度の差は統計的に有意だった(補正後の値49.3%、90%信頼区間: 37.0-61.5;Prescott検定でp<0.001)。

 pazopanibが好ましい理由として患者が挙げたのは、上位から順に、QOLが良好、倦怠感が少ない、食べ物の味の変化が少ない、口腔咽頭の痛みが少ない、悪心/嘔吐が少ない、などであった。

 一方、治験担当医が盲検下で判断した薬剤選好度は、pazopanib 61%、スニチニブ22%、「好ましさに違いがない」17%であり、pazopanibの選好度は患者による評価よりも低かったが、選好度のパターンは類似していた。

 また、質問票によるQOL評価はいずれの項目もpazopanibが有意に優れるとの成績であり、用量減量、早期中止といった用量変更の割合はスニチニブの方が多かった。

 有害事象については、高頻度のもののうち、pazopanib投与時の方がスニチニブよりも目立って多かったのは下痢(全グレードでそれぞれ32%、42%)のみであり、味覚異常(16%、27%)、粘膜炎(16%、22%)、口内炎(5%、16%)などはスニチニブ投与時の方が多かった。

 Escudier氏は、以上の成績から「mRCCに対する長期投与時のpazopanibの忍容性はスニチニブよりも良好なことが明らかに示された」と結論。毒性プロフィールの違いからpazopanibの選好度が上回ることは想定していたが、その差は予想を上回ったとして、患者の報告に基づくこの種の忍容性評価は薬剤の有効性評価の1つとして今後重要になるとの見解を述べた。なお、同氏はこの試験が両薬剤の有効性を比較するデザインではないことを最後に強調した。