進行肝細胞癌(HCC)のセカンドライン治療として、c-Met阻害剤tivantinib(ARQ197)は、増悪リスクを低下させ、生存を改善する可能性のあることが、多施設共同無作為化プラセボ対照フェーズ2試験で明らかになった。イタリアHumanitas Cancer CenterのLorenza Rimassa氏らが、6月1日から米国Chicagoで開催されている第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表した。

 tivantinibはc-Met受容体チロシンキナーゼを選択的に阻害する経口薬。HCC患者対象のフェーズ1試験で、tivantinib単剤およびソラフェニブとの併用で有望な結果が示されている。また非小細胞肺癌や大腸癌でも臨床試験が進められている。

 フェーズ2試験では、1レジメンの治療歴がある切除不能進行HCC患者107人をtivantinib群とプラセボ群に2:1に割り付けた。tivantinib群(71人)ではtivantinib 360mgを1日2回(360mg群:38人)、もしくは240mgを1日2回(240mg群:33人)、病勢進行(PD)まで投与した。プラセボ群(36人)では、PD後はtivantinib群へのクロスオーバーが許可されており、23人にtivantinibが投与された。

 主要評価項目は、ITT(intent-to-treat)集団における無増悪期間(TTP)であった。結果、ITT集団におけるtivantinib群のTTP中央値は6.9週、プラセボ群は6.0週であり、ハザード比は0.64(90%信頼区間:0.43-0.94)、Log-rank p値は0.04だった。

 副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)は、ハザード比は0.67(95%信頼区間:0.44-1.04)、Log-rank p値は0.06だった。240mg群で部分奏効が1人、病勢制御率はtivantinib群が44%、プラセボ群が31%だった。全生存期間(OS)中央値は、tivantinib群では6.6カ月、プラセボ群では6.2カ月、ハザード比は0.90(95%信頼区間:0.57-1.40)、p値は0.63で有意差はなかった。

 またMet発現をIHCアッセイで測定したところ、評価できた77人のうち、プラセボ群(28人)では、低発現患者のOS中央値は9.0カ月だが、高発現患者は3.8カ月、ハザード比は2.94、p値は0.02で、人数は少ないものの高発現患者では予後が悪いことが示された。

 Met高発現患者に限ると、tivantinib群(22人)のTTP中央値は11.7週、プラセボ群(15人)は6.1週、ハザード比は0.43(95%信頼区間:0.19-0.97)、p値は0.03だった。PFSはハザード比が0.45、p値は0.02で、病勢制御率がtivantinib群は50%、プラセボ群が20%だった。OS中央値は、tivantinib群では7.2カ月、プラセボ群では3.8カ月、ハザード比は0.38(同:0.18-0.81)、p値は0.01だった。

 一方、Met低発現患者では、tivantinib群とプラセボ群のTTPおよびOSに有意な差はなかった。

 有害事象は血液毒性を除き、tivantinib群とプラセボ群で大きな違いはなかった。重篤な有害事象(全グレード)は240mg群で39%、360mg群で29%、プラセボ群では39%だった。またtivantinib群におけるグレード3以上の好中球減少は360mg群で21%だが、240mg群では6%、貧血はそれぞれ16%、9%に見られた。

 これらの結果から、Rimassa氏は、「Met阻害剤でOS改善が見られた最初のHCC患者の無作為化試験データである」と述べた。Met高発現のHCC患者を対象としたフェーズ3試験が計画されている。