ステージIIからIVの上皮性卵巣癌に対し、パクリタキセルとの併用でカルボプラチンを毎週投与するdose-dense weekly TC (dd-TC) 療法の初回化学療法としての有効性を検討したJGOG3016試験では、dd-TC療法は従来のTC療法に比べて有効であることが示されていたが、今回、この試験を長期追跡した結果からも、dd-TC療法はステージII〜IVの上皮性卵巣癌の初回化学療法として有効であることが示された。dd-TC療法の5年生存率(OS)は58.7%で、従来療法群の51.1%よりも有意に高かった。日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科の勝俣範之氏が、6月1日から米国シカゴで開催されている第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表した。

 JGOG3016試験の結果は、2008年のASCOで報告されており、ステージIIからIVの上皮性卵巣癌患者へのdd-TC療法は、パクリタキセル+カルボプラチンを3週ごとに投与する従来治療と比べ、無増悪生存期間(PFS)を11カ月延長することが示されていた。

 対象は、FIGOステージIIからIVの上皮性卵巣癌、卵管癌または原発性腹膜癌患者。従来治療群(以下、c-TC群、319人)とdd-TC群(312人)に無作為に割り付けた。c-TC群は、カルボプラチン(AUC6.0、1日目)とパクリタキセル(180mg/m2、1日目)を3週間隔で6〜9サイクル投与する。dd-TC群は、カルボプラチン(AUC6.0、1日目)とパクリタキセル80mg/m2(1、8、15日目)を投与し、3週間を1サイクルとして6〜9サイクル実施した。患者の平均年齢は57歳で、両群における上皮性卵巣癌の占める割合は83〜87%。

 2003年4月〜2005年12月までに治療した患者は637人で、解析対象は631人。追跡期間中央値は6.4年間だった。増悪または死亡したのは426人(68%)、うち307人(49%)が死亡した。

 長期追跡の結果、dd-TC群のPFS中央値は28.2カ月で、c-TC群の17.5カ月と比べ、有意にPFSを延長した(ハザード比0.76、95%信頼区間:0.62-0.91、p=0.0037)。

 また、dd-TC群におけるOS中央値は未達、c-TC群は62.2カ月だった。dd-TC群の5年OS率は58.7%で、c-TC群の51.1%よりも有意に高かった(ハザード比0.79、95%信頼区間:0.63-0.99、p=0.039)。

 残存腫瘍の大きさとOSとの関係を検討した結果、1cm以下の残存腫瘍については、dd-TC群とc-TC群ともにOS中央値が未達となり、有意差が見られなかった。一方、残存腫瘍が1cmを超える患者ではdd-TC群のOS中央値は51.2カ月、c-TC群が33.5カ月で、有意差が確認された(ハザード比0.75、95%信頼区間:0.57-0.97、p=0.0267)。

 さらに、組織型別にOSを検討したところ、明細胞または粘液性の卵巣癌患者ではdd-TC群(54人)のOS中央値は未達、c-TC群(48人)は62.2カ月となり、両群間に有意差はなかった。一方、漿液性またはそのほかの組織型の患者では、dd-TC群(258人)のOS中央値は未達だったのに対し、c-TC群(271人)は61.2カ月で、dd-TC群で有意に延長した(ハザード比0.76、95%信頼区間:0.59-0.97、p=0.0252)。

 勝俣氏は、「今回の試験結果から、dd-TC療法は、進行した上皮性卵巣癌患者のPFSとOSを長期間にわたって改善することが示された」と語った。一方で、組織型が明細胞型と粘液性腫瘍だった場合においては、dd-TC療法、c-TC療法ともに十分な効果が得られなかったことから、そのほかの治療戦略の構築が必要であると指摘した。