進行性の腎細胞癌患者を登録し、tivozanibソラフェニブの無増悪生存期間(PFS)を比較したTIVO-1試験で、tivozanibの優越性が示された。米Memorial Sloan-Kettering癌センターのRobert John Motzer氏が、オープンラベルの多施設無作為化フェーズ3試験のデータをASCO2012において6月2日に口頭発表した。

 tivozanibは選択的で強力なチロシンキナーゼ阻害薬で、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体の3つのアイソフォーム(VEGFR-1、-2、-3)の全てを標的とする。標的以外に対する毒性は最小限になるよう設計されており、血中半減期が長いために服用は1日1回で済む。既に大規模なフェーズ2試験で、進行腎臓癌患者に対する活性と忍容性が示されていた。

 ファーストラインとしてのtivozanibとソラフェニブの有効性を比較したフェーズ3試験は、15カ国の76施設で2010年2月から10月まで患者登録を実施した。進行性腎細胞癌のうち淡明細胞癌で、腎臓摘出術を受けたがRECIST基準で測定可能な疾患ありに分類され、全身状態がECOGスコア0または1(無症状または症状はあるが行動制約はなし)、治療歴が無い、または転性疾患に対する全身性の治療歴は1回に留まることを組み入れ条件とし、抗VEGF療法またはmTOR阻害薬を用いた治療の経験がある患者は除外した。

 517人を登録し(年齢の中央値は59歳、約90%が欧州で登録された)、260人をtivozanib(1.5mgを1日1回、3週間経口投与して1週間休薬)に、257人をソラフェニブ(400mg 1日2回経口投与を継続)に割り付けて、4週サイクルで進行が見られるまで、または不忍容となるまで治療を行った。ソラフェニブ群の患者に進行が見られた場合には、tivozanibの切り替えが可能とした。

 主要エンドポイントはPFSとし、独立した評価委員会が分析した。2次評価指標は客観的奏効率(ORR)と安全性などに設定した。

 ベースラインの患者特性は、ECOGスコアが0だった患者の割合(tivozanib群が45%、ソラフェニブ群が54%、p=0.035)を除いて同様だった。

 独立した評価委員会の分析では、PFSの中央値は、tivozanib群が11.9カ月、ソラフェニブ群が9.1カ月で、ハザード比は0.797(95%信頼区間:0.639-0.993、p=0.042)と有意差を示した。研究者自身の分析では、PFSの中央値はそれぞれ14.7カ月と9.6カ月で、ハザード比は0.722(p=0.003)になった。

 サブグループ解析を行ったところ、tivozanibの利益はほぼ全てのサブグループに認められた。両群のそれぞれ70%を占めた治療歴のない患者群では、PFSの中央値は12.7カ月と9.1カ月で、ハザード比は0.756(0.580-0.985、p=0.037)だった。

 独立した評価委員会の分析では、ORR(完全奏効+部分奏効)は33%と23%(p=0.014)で、こちらも有意差を示した。

 投与の一時的な中断や用量削減が必要になった患者の割合はtivozanib群のほうが有意に少なく(いずれもp<0.001)、有害事象による脱落の割合は、tivozanib群が4%、ソラフェニブ群は5%といずれも少なかった。

 両群ともに90%をこえる患者が有害事象を経験した。多くがグレード1または2だった。

 ソラフェニブ群に多く見られた有害事象は手足症候群、下痢、脱毛などだった。

 一方、tivozanib群に多く見られた有害事象は高血圧で、tivozanib群の44%がこれを経験した。ソラフェニブ群では34%だった。tivozanib群の患者のほとんどが降圧治療に反応し、用量削減が必要になったのは2%、投与中止は1%にとどまった。tivozanib群には発音障害や腰痛も多かった。

 なお、tivozanibによるPFS延長効果は高血圧を呈した患者で有意に高く、血圧が正常域だった患者と比べると40%を超えるPFS延長が認められた。研究者たちは、この事実はtivozanibが強力なVEGFR阻害薬であることを反映していると考えている。

 全生存期間などの他の評価指標に関する分析は現在も進行中だ。