ROS1受容体チロシンキナーゼ遺伝子の染色体転座を有する進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対し、ALK阻害剤クリゾチニブは有効であることがフェーズ1試験(PROFILE 1001)で明らかになった。米国Massachusetts General Hospital Cancer CenterのAlice Tsang Shaw氏らが、6月1日から米国Chicagoで開催されている第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表した。

 ROS1受容体チロシンキナーゼ遺伝子の染色体転座(ROS1再構成)は、NSCLC患者において1%未満に見られ、若年者、非喫煙もしくは軽度喫煙者、腺癌の患者に多い。しかしALKなど他のoncogenic driverとのオーバーラップはないといわれている。

 クリゾチニブは、c-MET、ALK、ROS1の受容体チロシンキナーゼ阻害剤。In vitroでROS1再構成のある細胞で感受性が高いことが示されている。

 1001試験はPart 1とPart 2に分かれており、Part 1の用量漸増試験ではクリゾチニブの用量を50mg1日1回から300mg1日2回まで漸増した。その結果、最大耐用量およびフェーズ2試験の推奨用量は250mgを1日2回となった。

 Part 2の拡大コホートでは、FISH法(Break Apart FISHアッセイ)でROS1再構成が認められた患者15人を対象に、クリゾチニブ250mgを1日2回投与した。年齢中央値は54歳(31-72歳)、15人のうち男性が8人、非喫煙者が14人で、全員が腺癌であった。1レジメン以上の治療歴がある患者は12人だった。

 この結果、抗腫瘍効果は、評価できた14人において、完全奏効が1人、部分奏効が7人、病勢安定が4人であり、奏効率は57.1%、8週時点の病勢制御率は79%だった。治療期間中央値は25.7週。なおALK陽性患者19人を対象とした試験でのクリゾチニブの奏効率は52.6%、病勢制御率は79%と報告されており、今回の結果とほぼ同じだった。

 また安全性プロファイルも、ROS1陽性患者とALK陽性患者では類似していた。今回の試験では、視覚障害が13人、AST上昇、下痢、低リン酸血症、末梢浮腫が各4人に見られた。またグレード3の有害事象は、AST上昇、ALT上昇、低リン酸血症、好中球減少が各1人だった。

 以上のことから、Shaw氏は「クリゾチニブはROS1陽性のNSCLC患者において明らかな抗腫瘍効果を示した」とし、さらに「ROS1が肺癌の治療ターゲットであることが確認された」と述べた。