CAPIRIあるいはCAPOXとセツキシマブを併用投与した切除不能・進行大腸癌の治療効果予測に、EGFRのリガンドであるamphiregulinepiregulin、およびEGFRの増幅を評価することが有効である可能性が示された。ドイツMunich大学の Sebastian Stintzing氏が、6月1日から米国Chicagoで開催されている第48回米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で発表した。

 Stintzing氏らは、AIO CRC-0104試験に登録された患者のうち、KRAS遺伝子が野生型かつ、amphiregulin、epiregulinの評価が可能だった患者(99例)で、さらにEGFRの増幅が評価できた63例を対象に今回、解析を行った。

 AIO CRC-0104試験は、2000年から2006年に、KRAS遺伝子の変異の有無にかかわらず登録した切除不能・進行大腸癌185例を、カペシタビン+イリノテカン+セツキシマブ(CAPIRI+セツキシマブ)群とカペシタビン+オキサリプラチン+セツキシマブ(CAPOX+セツキシマブ)群に割り付けている。

 このAIO CRC-0104試験の主要評価項目は客観的奏効率で、KRAS遺伝子変異の有無は予後と相関しないことが示されている。

 今回、FISHを使ったEGFR遺伝子の増幅や、パラフィン包埋切片から腫瘍細胞をレーザーで切り出してRT-PCR法を行うことによるamphiregulin、epiregulin量の評価と、客観的奏効率との相関を解析した。

 ROC解析を行い、amphiregulinはAUC=0.661(感度56.9%、特異度75.6%)でカットオフ値を8.885に、epiregulinはAUC=0.615(感度62.1%、特異度73.2%)でカットオフ値を31.66に、EGFR増幅はAUC=0.651(感度:67.9%、特異度57.8%)でカットオフ値を1.055と決め、カットオフ値より高いグループと低いグループに分けて評価した。

 amphiregulinについて、低値グループ(n=35)は病勢進行(PD)が17%、病勢安定(SD)は37%、部分奏効(PR)は46%、完全奏効(CR)は0%、客観的奏効率(ORR)は46%、病勢コントロール率(DCR)は83%だったのに対し、高値グループ(n=24)はPDが0%、SDが17%、PRが67%、CRが17%、ORRは83%、DCRは100%だった。これらのうち、CR、ORRについて、高値グループは低値グループに比べて有意に高かった。

 epiregulinについて、低値グループ(n=28)はPDが14%、SDは39%、PRは46%、CRは6%、ORRは46%、DCRは86%だったのに対し、高値グループ(n=31)はPDが7%、SDが19%、PRが61%、CRは13%、ORRは74%、DCRは94%だった。これらのうち、ORRについて、高値グループは低値グループに比べて有意に高かった。

 EGFR増幅について、低値グループ(n=27)はPDは19%、SDは48%、PRは33%、CRは0%、ORRは33%、DCRは82%だったのに対し、高値グループ(n=35)はPDが6%、SDは23%、PRは60%、CRは11%、ORRは71%、DCRは94%だった。これらのうち、PR、ORRについて、高値グループは低値グループに比べて有意に高かった。

 無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)について検討した結果、amphiregulinについて、低値グループのPFS、OSがそれぞれ4.3カ月、17.1カ月だったのに対し、高値グループのPFS、OSはそれぞれ8.4カ月、39.9カ月で、いずれも高値グループが有意に延長していた。

 epiregulinについて、低値グループのPFS、OSはそれぞれ4.9カ月、20.2カ月だったのに対し、高値グループのPFS、OSはそれぞれ7.9カ月、33.0カ月で、いずれも高値グループが有意に延長していた。

 EGFR増幅について、低値グループのPFS、OSはそれぞれ4.6カ月、15.2カ月だったのに対し、高値グループのPFS、OSは8.4カ月、30.5カ月で、いずれも高値グループが有意に延長していた。

 これらの結果からStintzing氏らは、セツキシマブとCAPIRIあるいはCAPOXの併用治療において、amphiregulin、epiregulinの発現量や、EGFRの増幅は治療効果の予測因子であり、KRAS野生型の患者においては、特にEGFRの増幅とamphiregulinが治療効果と強く相関していることが示されたと締めくくった。