局所進行直腸癌に対する周術期治療の化学放射線療法(CRT)において、カペシタビンの5FUに対する非劣性が5年全生存率(OS)で示された。ネオアジュバント療法では、カペシタビンによる良好なダウンステージの効果と病理学的完全奏効(pCR)も認められた。これらの結果はフェーズ3試験の長期的なデータから示されたもので、6月3日から7日にかけてシカゴで開催された第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO2011)で、ドイツUniversitatsmedizin MannheimのR. Hofheinz氏が発表した。

 直腸癌に対する術前CRTは、日本では有効性と安全性を示すエビデンスの点から積極的には実施されていない。一方、欧米ではCRTは標準的治療に位置付けられ、放射線増感作用を持つカペシタビンがフェーズ1、2試験で検討されている。

 Hofheinz氏らは、局所進行直腸癌の周術期治療として行うCRTにおいて、カペシタビンの5FUに対する非劣性を検討する多施設共同の無作為化フェーズ3試験を実施し、長期データを報告した。

 対象は国際対癌連合(UICC)の分類でステージIIまたはIIIの直腸癌患者。

 アジュバント療法のA群では、CRTとしてカペシタビン1650mg/m2/日の1〜38日までの投与と計50.4Gyの照射を行い、CRT施行前にカペシタビン2500mg/m2/日を2週投与・1週休薬のサイクルで2回、CRT施行後に3回行う。B群では、CRTとして5FU 225mg/m2/日の連日投与と照射を行い、CRT施行前後に5FU 500mg/m2/日の1〜5日までの投与を各2回行う。

 ネオアジュバント療法のA群では、CRTをアジュバント療法と同量で行い、術後にカペシタビン2500mg/m2/日を2週投与・1週休薬のサイクルで5回投与する。B群では、CRTで5FU 1000mg/m2/日を1〜5日と29〜33日に投与し、術後6週目から5FU 500mg/m2の1〜5日までの投与を5回行う。

 本試験の主要評価項目はOSで、5年OSでカペシタビン群の5FUに対する非劣性を示すことができるか、非劣性マージンを12.5%として判断した。副次的評価項目は無病生存期間(DFS)と安全性とした。

 評価可能な392人中、カペシタビン群は197人(年齢中央値64.6歳、男性65.5%)で、アジュバント療法に116人、ネオアジュバントバント療法に81人となった。5FU群は195人(同64.0歳、67.2%)で、アジュバント療法に115人、ネオアジュバント療法に80人となった。

 ネオアジュバント療法施行後に手術を行ったのは、カペシタビン群73人、5FU群75人だった。臨床病期では壁深達度(T)とリンパ節転移(N)の状態は両群で差がなかったが、病理組織学的にはT、Nともにカペシタビン群でダウンステージとなる傾向がみられた(p=0.07、p=0.09)。pCRは、カペシタビン群13.2%、5FU群5.4%だった(p=0.16)。

 対象全体では、追跡期間の中央値が52カ月の時点での遠隔転移の発生は、カペシタビン群18.8%、5FU群27.7%で有意差がみられた(p=0.0367)。死亡は93人で、カペシタビン群19.3%、5FU群28.2%となった(p=0.038)。疾患に関連する死亡は13.2%と19.0%だった。

 無病生存率(DFS)をみると、3年DFSと5年DFSは、カペシタビン群では75.2%と67.8%、5FU群では66.6%と54.1%となった(p=0.035)。

 主要評価項目である5年OSは、カペシタビン群で75.7%、5FU群で66.6%となり、非劣性について有意に良好な結果が示された(p<0.001)。

 有害事象として、血液毒性では白血球減少が5FU群と比べてカペシタビン群で有意に少なかった(p=0.047)。全体的に血液毒性は軽度であった。消化管毒性ではカペシタビン群で直腸炎が有意に多く(p<0.001)、下痢も多くみられた。また、手足症候群や疲労感もカペシタビン群で多く発現した(p<0.001、p=0.002)。

 手足症候群の発現によるDFSとOSの違いもみられた。カペシタビン群で手足症候群が発現した患者の3年DFSは83.2%、発現しなかった患者では71.4%だった。また同群で手足症候群が発現した患者の5年OSは91.4%、発現しなかった患者では68.0%だった。

 Hofheinz氏は「局所進行直腸癌患者の周術期治療では、カペシタビンが5FUに置き換わる可能性がある」と話した。